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体が軽くなり始め、二日後には退院が決まった。
もうあのゲームをプレイすることだなんて考えもしない。
夏の夜空を見上げるたびに過去の自分の境遇に思いを馳せた。
病棟から見る銀河のような景色が見られるのも残り二日
そんな事を思うたびにこの病棟の名残惜しさが心を揺さぶる。
「静かなのも悪くはないなぁ。」
誰かに話しかけるかのように一人で呟くと孤独感に苛まれる。
「明日には退院ですからね。
お家へ帰れるからね。」
子供扱いされたことにムッとしたが、若い看護師さんのおかげで今の自分が保てているかもしれない。
フォールクエストというワードを出されるだけで妙な頭痛と耳鳴りがしてしまうのは後遺症なのかもしれない。
明日にはまたいつもの生活が待っている。
ベッドを整え 荷物も一式に纏めると すぐに横になる。
今日の夏の夜空は一段と違い赤く染まっている。
この赤い炎をホタルの群れが一列になって光を演出している。
「夏ももう終わりか。」
ふと目を閉じ再び開けるといつもの風景が広がっている。
さっきまで見た世界はもしかしたら幻だったのかもしれない。
あのときの自分も幻を見ていたのかもしれない.....
「さぁ準備できたらいくわよ。」
退院するばかりだというのに母に急かされる。
二週間分の着替えが肩に重くのしかかる。
運動もまともにしていなかったせいか、少しの距離を歩いただけで息がゼエゼエと荒く、汗がビチャビチャと真っ白なTシャツを濡らす。
コンビニのスポーツドリンクも休憩するたびにぬるくなり、水分補給にもならない。
自分の部屋にはもうあのソフトは無かった。
「LINE件数 250件」
殆どが男子友達の労いのメール
しかしその中にゲームをオススメしてくれた友樹の名前はない。
急いで一人ずつに退院報告のメールを送る。
メールを打つだけで吐き気を催すほどの疲労に襲われるなんて、今後の授業に影響が出ないのか?
寝床に付きながら自らの境遇を憂いた。
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