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「……あのミケネコーンちゃんは猫じゃないよね?」
わたしは、腰を抜かしそうになりながら聞いた。
「はいにゃん。ミケネコーンは猫とちゃいますにゃん。猫の形をした怪獣ですにゃ~ん! ところでお名前は何ですかにゃん?」
そう言ってミケネコーンはにゃぱにゃぱと笑いわたしの顔を見た。
「……か、怪獣って……まさかの怪獣なの? わたしは、真川夏花、中学一年生だよ」
「うにゃん、夏花ですかにゃん。はい、怪獣ですにゃん。夏花、ミケネコーンを助けてくださいにゃん」
ミケネコーンはその顔からはみ出しそうな大きな目をうるうるさせながら言った。
「助けるってどういうこと?」
わたしは、聞きながらダンボールを見た。よく見ると、黒いマジックで『捨て猫です』と書かれているではないか。
この子は捨て猫なんだ。ああ、なんて可哀想なんだろうかと思ったけれど、ちょっと待てよ、怪獣なんだよねとふと考え直す。
「ミケネコーンはお父ちゃまに修行をしなさいと言われ怪獣界からこの真っ黒な人間界に突き落とされましたにゃ~ん!」
ミケネコーンの大きな目から涙がポロポロとこぼれ落ちた。
「ミ、ミケネコーンちゃんてば可哀想に~って怪獣界って何ですか~」
わたしは、大声で叫んだ。
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