29人が本棚に入れています
本棚に追加
「……あ、そうなんだね。ミケネコーンちゃんは二本足で立って喋ることも出来る猫型怪獣なんだね」
わたしは、涙と鼻水でベタベタにゃんになっているミケネコーンの顔をじっと見て言った。
「はいにゃん。お喋りもお歌も得意ですにゃん。それよりミケネコーンはお腹が空きましたにゃん」
「じゃあ、ちょっと待ってね」
わたしは、鞄の中に手を入れがさごそと食べ物が入ってないかなと探すと、あった、本を読みながら食べようかなと思っていたドーナツだ。
「ドーナツだけど食べられる?」
「ミケネコーンはドーナツめちゃくちゃ大好きですにゃ~ん!」
そう答えたミケネコーンの裂けたお口からたらりとヨダレが垂れている。
「はい、どうぞ」
「夏花、ありがとうですにゃ~ん!」
ミケネコーンは、わたしが渡したドーナツをそれはもう勢いよくむしゃむしゃと食べた。余程お腹が空いていたのだろう。
「あはは、そんなに美味しそうに食べてくれると嬉しいな」
「美味しいですにゃん。ミケネコーンは幸せですにゃん!」
幸せそうに食べているのは良いけれどミケネコーンのお口の周りはドーナツの砂糖まみれになっているではないか。
「ねえ、ミケネコーンちゃん、お口の周りがばっちくなっているよ」
「ミケネコーンは気にしないですにゃん!
むしゃむしゃにゃんですにゃん」
ミケネコーンがドーナツをぽろぽろこぼしながら食べていたその時、視線を感じた。
最初のコメントを投稿しよう!