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わたしは、視線の感じる方向に目を向けた。すると、その先にシーサーの置物があった。
そうなのだ、シーサーの置物は門柱の上に置かれているあの置物だ。
これはどういうことなんだろう? だって、シーサーのギョロとした目がこちらを見ているではないか。
いやいや、こちらをというかわたしじゃなくてどうやらミケネコーンを見ているようだ。
「美味しいですにゃんたら美味しいですにゃ~ん! にゃんにゃんたらたらにゃんにゃん!」
ミケネコーンは、シーサーの視線に気づく様子もなくドーナツを美味しそうにむしゃむしゃにゃんと歌を歌うように食べ続けている。
そんなミケネコーンの姿をシーサーのギョロリとした目がじっと見ている。
「ねえ、ミケネコーンちゃん、シーサーの置物が見ているよ」
「うにゃん? シーサーの置物がですかにゃん。ミケネコーンは気にしませんにゃん」
ミケネコーンはむしゃむしゃにゃんとドーナツを食べ続けた。
と、その時、「ならん」と誰かが言った。
この声はまさか……。でも、そんなことってあるのだろうか。信じられないけれど、この声の主は……。
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