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岩川たちは、火災現場手前約百五十メートル付近の消火栓に部署した。
ホースは一本二十メートルなので、内部進入をする場合を考えると、最低でも九本以上は延長しなくてはいけないということである。
「水利はホントにここでいいのだな」岩川は念を押した。
もっと現場に近い消火栓あるいは防火水槽がないのかと暗に訊いたのだ。
「大丈夫っす」
青沼の声には力がこもっていた。もっとも山の中の一本道では間違えようがない。
延焼阻止線を張れと言われればここで給水処置をして一線延長する。飛び火警戒をせよと言われれば、風向きを考慮し現場付近の警戒に出発という段取りである。飛び火警戒を下命された場合はどちらかというと現場から離れている方が都合がいい。
岩川は指令本部に現場到着を報告した後、現場及び周囲の状況を確認するため下車した。
「ちょっと行ってくる。待機しててくれ」
岩川は、ポンプ車の上部に備え付けてあるトビ口を取り出した。本来は残火処理用だが、障害物の除去、検索棒、杖代わりにも使え、持っていれば何かと役に立つのである。
青沼は吸管を消火栓につなぐ作業をはじめた。杉淵と打川はホースカーの準備である。
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