1-1 青年、化けものを拾う

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 化けものは正体の知れないものなのだ、警戒していたほうがいい。  そう考えていると、化けものがこちらに対しておなじく警戒する様子を見せていたことを思い出した。 「おたがいさまかな」  一度家に上げてしまった以上、このちいさな化けものを追い出すのはなんだか気が進まない。  私の声に目を覚ます気配はなく、こんこんと化けものは眠っている。  起こさずに済むだろうか、と私は思い切って手をのばす。  化けものの頭部に生えている、さらさらとした黒い毛にふれてみた。  とても心地よい感触がした。  化けものは頭部以外には毛が生えておらず、指先で押してみると、やんわりとへこんでいった。  短い毛に覆われた私の皮膚とだいぶ違う。  私の手のひらは毛が生えていないが、つるつるしたその肌はだいぶ違う質感だった。私の黒々とした手のひらはかたく、艶やかにてかっている。化けものの肌は対照的だが、似た質感の友人を私は思い出していた。  手のひらを押しつけてみると、じわりと手のひらが温められていく。  予想しなかったくらいに温かい。
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