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4,不良と狼男の訪問
次の日、紫苑がいない二組の教室では生徒たちがざわついていた。
俺はそれが気に入らず、逆にイライラしてきた。
五限目は自習になった。
「今日は月読さん、休みなんだって?幽霊にでもとり憑かれたのかな……」
「やっぱりそうだよ!かかわったら絶対に呪われるって!」
「あの幽霊屋敷に住んでる時点でおかしいよ」
ウワサを流したこいつらは自分は何も悪いとは考えないんだな。
さすがの俺でもこれには聞き捨てならなかった。
「月読さんには悪いけど、もう来なくていいよね」
「だよな。あそこは心霊スポットとして有名なぐらいなんだろ」
「きっと何もいいことないよな」
生徒たちは笑いだす。
もう我慢ができない、古城先生が来るまでにケリをつけてやる。
「お前ら!いい加減にしろよ!」
生徒たちが固まり顔を青ざめる。
さっきまで余裕な顔で悪口言ってたヤツもあせってる。
「最初から気に食わないと思っていたが、やりすぎなんだよ。シメるぞ、ああん!?」
「ひ、氷室がキレた……冗談だって!」
「そうよ……!からかっただけで……」
あーあ、こういうヤツが一番ダメだ。
マジで終わってる。
俺は、はき捨てるように言った。
「二度とその口たたくんじゃねえぞ。じゃねえと三年の生徒会長にチクるからな」
生徒たちはしんと静まりかえった。
すると古城先生が教室に入ってくる。
「どうした?騒がしいな。また氷室か?」
「先生、俺。月読の見舞いに行ってきてもいいすか?」
先生は驚いた顔になっている。
それもそうだよな。
「おう、めずらしいな。かまわないが、でもなぜ?」
俺は生徒全員をにらみつけ、笑いながら耳打ちした。
(こいつらが、月読をいじめて黒いウワサ流してたぜ)
(なんだと!?)
そして俺はリュックを背負い教室を出た。
「じゃあ、そういうことで俺帰りまーす!」
俺が走って教室から出ると古城先生の怒鳴り声が響いていた。
「まだ、約束は終わってないんだよ。月読」
俺は笑いながら、学校を後にした。
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