4,不良と狼男の訪問

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僕は見つからないようにソファーの裏側に隠れる。 大きなことになってしまった。 きっと学校ではウワサが広まっているんだろう。 (もしかして、また……) 目を閉じようとしたときだった。 「みーつけたぜ」 「うわああ」 僕の背後から氷室君があらわれてついに見つかってしまう。 しまった、僕より身長が高いからバレるのも無理はない。 「あ、あの。約束やぶってごめんなさ……」 「これから始めるんだよ。おにーさんも来いよ」 『ああ。』 氷室君とこの人は知り合いなのだろうか? でも、そうだとしたら氷室君が人間ではない可能性でも考えられる。 「ひ、氷室君。やっぱり帰ってもらって大丈夫だから」 「んな訳にはいかねえよ。それにお前の黒いウワサは消えそうだぜ」 え……?僕はどういうことか理解できなかった。 「何があったの?」 「それがな……」 氷室君は学校で起こった出来事を面白そうに笑いながら話した。 男の人も興味深そうに聞いている。 「そうだったんだ……」 「まあ。この家も悪くないと思うぜ?たしかに雰囲気はヤバイが」 すると男性が僕に話しかける。 『シオン。俺はここに住みついていた者さ』 「ええっ!?」 イヤな予感がして僕は視界をはなす。 が、それもはずれて。 『俺、実は……なんだ』 「えっ……氷室君。知り合いじゃないよね!?」 「違うわ!お前マジで言ってんのかよ……」 さすがの氷室君も驚いている。 「幽霊じゃなくて、狼男なの?」 『ああ、俺はシロウ。あのときはおどろかせて悪いな』 すると空が暗くなり、窓から月の光がさす。 そしてシロウが唸り声をあげて、姿が変化した。 耳、尻尾、爪、牙……それは人型を保ちながら魔へと変化する。 『シオン、俺の話につきあってくれないか?そこのガキもついでによ』 さっきまで優しそうだった彼の性格が変わった。 僕は悲鳴をあげ、氷室君は戦闘態勢にはいっていた。 「え……?怖くないの⁉」 「お前が具合が悪いってのはウソなんだろ?俺はがあるから慣れっこなんだよ。やんのか?」 すごい、とても肝がすわっている。 シロウも言い返す。 『へえ……お前ずいぶんと度胸があるな。不良ってのはそんなものか』 「てめえ……上等じゃねえか!」 シロウが余裕そうに長い舌で舌なめずりをする。 氷室君は完全に怒っている。 僕はどうしたらいいかわからなかった。 (まずいよ!このままだとやられちゃう!) 泣きそうになったが、勇気を出して話しかける。 自然と体が動いていたから。 「あのさ!ケンカはやめて!僕が話を聞いてあげるから!」 「なんだと……?月読」 『本当か、シオン?』 二人が困惑しているけど僕はとまらなかった。 父さんが来てからでは遅いから。 [自分の身は自分で守りなさい] 天国に逝ったお母さんの言葉を信じて。 「僕のせいでこうなったんだ。争うのはイヤだから」 真剣なまなざしを二人に向けるとおとなしくなった。 あれ?意外とちょろい? 「そ、そうだな……俺は見舞いに来ただけだしな」 『ああ。シオンがそう言うなら』 僕は決めていた、こんなことが毎日続くなら。 の話も聞いてあげよう。
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