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5,魔族交渉人シオン誕生?
頭では理解できなくても心は通じるかもしれない。
一筋の希望をかけた僕は二人に本当のことを話す。
もしものときは、そのときだ。
「氷室くん、シロウ。僕、実は……霊感強いです。最近になって目覚めました……」
「はあ?お前正気かよ?」
『最高だ。まさかこんな人間に出会えるなんてな』
「ウソじゃないんだ。小さなころから色んなのが視えていて」
予想通り、氷室君はきょとんとした顔で驚いている。
シロウは狼男らしくニヤニヤしながら僕をみつめていた。
さすがの僕もここまでだった。
あの不良である氷室君がこんなにも震えているから。
「もしかして、こわかったよね。だったらごめんなさ……」
「い、いや!違うんだ。まさか月読がそんな能力を持っていたことにふるえていたんだ」
『俺が怖いのではなくて?』
シロウがいたずらに笑うと氷室君が顔を赤面して言い放つ。
「馬鹿か!あんまり人間をなめんなよ」
ここまでおどおどしている氷室君は初めてみた。
いつもなら生徒から恐れられるとんでもない彼なのに。
目線をそらしているのが何よりの証拠だった。
「氷室君は、僕にどうしてそこまで」
「てめえと……仲良くなりたいからだよ。悪いか?」
え?冗談に聞こえるセリフだよね、これ。
僕はいてもたってもいられなくなった。
「え?本気なのか?」
「当たり前だろ。お見舞いにきたのはそれだ。それに約束もまだだしな」
「約束……ああっ!それって……」
僕は忘れてはいなかった。
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