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「僕は、新しい場所でも……うまくやっていけるのか」
「大丈夫だ。もうお前は中学生だろう。でも何かあったらすぐに俺に言いなさい。分かったな?」
父さん、月読刹那社長は見た目はきびしいけれど心優しい。
お母さんを失ったショックで変わってしまった。
ハードボイルドな感じのハンサムな雰囲気になってしまった。
「うん、約束する」
「よし。いい子だ」
もうすぐで新しい家につく。
六月という中途半端なときに転校するのだから。
新しい家はもちろん広く、テレビやゲーム、本棚や書斎もついている。
まさに夢のような家だと大家さんから聞いていた。
「ねえ、父さん。幽霊って信じる?」
「ほう……。急に何を言い出すかと思ったら。そうだな」
僕は少し気になっていた。
もしかしたら、いじめの原因は僕ではなく家系の問題ではないかと。
父さんは強くハンドルを握りしめて、きっぱり言った。
「ああ、信じるさ。世の中は不思議なことだらけだ」
「そうだよな。変なこと聞いてごめんなさい」
僕がしゅん、とうつむくと父さんは笑った。
「たしかにホラーやミステリーなどを扱う仕事もあるが。ゲーム会社の社長としてじゃない、俺自身の意見だ」
やっぱりカッコいい。
僕は将来、父さんみたいな立派な人になりたいと思っていた。
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