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VSスケルゴン
俺たちに気づいたスケルトンは、身体中の骨をカラン、コロンと鳴らしながら向かってくる。
腕を振り上げ、撃ち下ろしてきたがスローな攻撃なので流石の俺も盾で防ぐ事ができた。
本来なら、ここで反撃できれば良いのだが・・・それが出来ないのが俺のポンコツたる所以。
見かねたジュンが杖でスケルトンの頭部を殴りつけると、スケルトンはよろめいて後退りした。
間合いが離れたにも関わらず、再び腕を振り上げる。
そこからじゃ攻撃は届かないと思い、空振りしたところを狙おうと剣を構えた・・・が、なんと右腕の骨が飛んできた!
「ぐぉ!?」
飛んできた骨を顔面にくらい、今度は俺が後退る。
再び近づいてきたスケルトンが左腕を振り上げたので、これは最初と同じ攻撃だと判断し盾で防ぐ。
再びジュンが隙をついて杖で殴るが、まだ倒れない。
ん?また、離れたところで腕を振り上げた・・・左腕まで飛ばす気か?
盾を構えると案の定、腕が飛んできた。
両腕を失くしてしまったスケルトンに詰めより、ジュンは三度目の攻撃を繰り出す。
スケルトンはバラバラになり、アイテムとマニーを落とした。
「アイテムは骨?何に使うんだろう・・・マニーはスライムよりは多いな」
「攻撃パターンが単調だから、倒すのは難しくないね!スケルゴンのところに行くまではボクの魔法は温存した方が良さそう」
「サーチィさん、魔法を使う力も自然回復するんですか?」
『魔力も体力同様、、休憩すれば回復しますよ。スケルトンがいない場所で休憩しながら先へ進みましょう!』
サーチィさんのアドバイスにしたがい、敵がいない場所で少し休んでフローガを3発撃てるようになるまで休憩する。
その後、スケルトンを倒しているうちに俺もレベルアップ!
そして、一際重い空気が流れるひらけた場所に巨大なトカゲの骨のようなモノが見えた。
全体的な大きさは大型トラックくらいはあり、尻尾は長く、全長の2倍はある。
身体を丸めて眠っているようだが、あれを倒すのか!?
「デッカイねぇー!寝てるうちに攻撃する?」
『あの状態のスケルゴンにはダメージを与えられない仕様なので、近づいてから戦闘して下さい!』
「まぁ、確かに初のボスバトルでセコい戦い方は無いか。楽しめそうだね!行こう、ワルタ!」
ジュンは袖をまくるような仕草で右腕をあげる。
楽しそうだが、こっちは緊張しっぱなしだ。
俺はともかく、ジュンは死んだらおしまいだからな。
「サーチィさん、撤退は可能なんですよね?」
『逃げれば追ってこないので、ボス戦も撤退は可能ですよ!まぁ、スケルゴンの場合は心配無いと思いますが』
それは、弱いという意味だろうか?とにかく、既にスケルゴンに向かって進んでいるジュンを追いかけよう。
一定距離まで近づくと、スケルゴンの目に青い光が灯った。
こちらに気づいたらしく、身体を起こして口を開く!
「お前らが、ヘルメスの言ってたガキどもか?」
こいつ、喋れるのか!?それより、ヘルメスさんと知り合いという事に驚いた。知り合いなのに討伐を依頼したと言う事は・・・何か因縁がある関係なのだろうか?
「ボクらは、ヘルメスさんから依頼を受けてスケルゴンさんを討伐にきました!」
「なるほどな、ネクロスか。気を利かせたって訳か。じゃあ、相手をしてやる。ワシにある程度ダメージを与えたら、討伐成功の証をくれてやろう!こい、小童ども!」
これ以上、語る事は無いと言うようにスケルゴンは身体中の骨をガタガタと揺らしながら向かって来る!
「見た目もスケルトンと同じ骨だし、炎が有効だよね!くらえ、フローガ!!」
火の玉がスケルゴンの顔面に命中!したが、プスプスと煙をあげるだけで怯む様子は無い。
「効いてないの!?」
今度はこっちの番と言わんばかりに、スケルゴンは身体を横に大きく動かし薙ぎ払うように尻尾を振る!
「ジュン、危ない!」
俺はジュンを守るように盾を構えるが、勢いに押されて二人まとめて弾き飛ばされた。
「くっそ・・・大丈夫か?」
「うん、ワルタが庇ってくれたからダメージはほとんど無いよ!」
膝をつく俺たちに向かってスケルゴンはカタカタと顎の骨を鳴らす。
「オーバーアクションの攻撃は、受けるよりかわせ!ジャンプを使いこなせば、攻めにも守りにも幅がでる」
何故かスケルゴンがアドバイスしてきた?罠か?
再び、同じ動きで尻尾を振るう!
ジュンはジャンプでかわしたが、俺はタイミングがあわせられず足にぶつかってしまった。
「よし、かわせた!」
「ぐぉ!?さっきよりダメージがデカイ!やはり、罠だったか!」
「ワルタとか言ったか?縄跳びみたいなもんよ、落ち着いてやれ!」
縄跳び・・・現実世界なら、7重跳びできるがゲームの世界では自信が無い!
「ほれ、行くぞ!」
再び尻尾攻撃がきた!が、やはりタイミングが合わずダメージを受けてしまった。
「なるほど、キャラクターコントロールがヤバいくらい下手だな。ジュンは今の攻撃もかわしたぞ?」
俺は薬草を使って体力を回復させる。
「なんでモンスターにコーチングされてるんだ?でも、自分がどれだけ下手かはわかった。ならば、こっちにも考えがある!」
「そのネクロスを護ってやれるのは、今はお前しかいないからな。行くぞ!」
4度目の尻尾攻撃を俺はかわす・・・ことなく、受け止めた!
『え!?手加減してるとは言え、スケルゴンの尻尾攻撃をレベル4で受け止めた!?』
サーチィさんにとって、それは予想外だったらしい。
「サーチィちゃん、見て!ワルタが盾を両手に装備してる!」
俺は鋼の長剣を革の盾に持ちかえ、盾を左右に装備し防御力をアップさせる事で攻撃を受け止めた。
「ほう、ワシの攻撃を工夫を凝らして受け止めとはな・・・少し見くびったか」
ん?よく見ると、スケルゴンの胸が目と同じように微かに青く光ってるぞ?
「ジュン、こっちに来てくれ!」
「ラジャー!」
「次に攻撃を受け止めたら、スケルゴンの胸を狙おう!弱点かも知れない」
小さい声で作戦を伝え、俺は両手に盾を構えて待ち構える。
「相談は終わりか?次はもっと強く行くぞ!」
「こい、スケルゴン!」
明らかにさっきよりも勢いをつけて、スケルゴンが尻尾を振るう!
一撃が重い!足を踏ん張り、重心を前へ前へと意識を向けるが止まらない!
「例えポンコツでも、ジュンは俺が護る・・・絶対に!」
そう叫んだ瞬間、身体がレベルアップした時のように光りだし・・・何とか、スケルゴンの攻撃を受けきった!
『戦闘中のレベルアップ!?ワルタ君は、この戦いでそれほどの経験値を得たというの!?』
「この小僧、やりおるわ!」
「いっけー!ジュン!!」
ジュンは俺の声に答えるようにフローガをスケルゴンの胸に放った!
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