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灯りが光り・・・
「皆、こっちに来るっス!」
「ウホッ、お年寄りと子供を優先して下さい」
「大丈夫、俺達の誘導に従ってくれれば安全な場所に行けるから」
「ゴリオさん、こっちはOKです!」
「俺らも、このまま一旦安全地帯まで移動しますか?」
サーノックの仲間達と共に人々の避難誘導に奔走する類人猿トリオとヒカリ・・・ヒカリは、マップを開き敵がいないかこまめに確認する。
「・・・近づいて来てる」
ヒカリが見据える先には・・・黒いフードマント姿の少年が居た。
「見つけた・・・ようやくね」
現れたのは、四人と因縁のあるトーチだった。
「ダークネクロスが復活してるとは聞いていたから、驚きはしないけど・・・ずっとあたい達を探してたのかい?」
フードを外し、トーチは珍場を睨み付ける。
「そのエテ公をね、特に!」
咄嗟にゴリオの後ろに隠れる珍場に、ゴリオと猿田は苦笑いを浮かべる。
「ウホッ、前は余裕のニヤケ面だったが感情的だな」
「まぁ、やるしかないだろうね・・・皆、あのダークネクロスはあたい達が引き受ける!先に行っておくれ!」
「ですが、ヒカリさん・・・皆で戦った方が」
サーノックの同胞達も武器を構えるが、ヒカリは横に首を振る。
「あいつには、人を操るスキルがある。一般人が巻き込まれたらヤバいんだ。頼むよ!」
避難誘導を仲間達に任せ、ヒカリ達はトーチへの攻撃を開始!
ヒカリはワイバーンに乗り空中から魔法攻撃、猿田は遠距離から弓で攻撃し、ゴリオと珍場は間合いを詰めて行く。
対するトーチは盾の魔法でヒカリと猿田の攻撃をガードしながらゴリオと珍場に銃を撃つ!
ゴリオは大型戦斧を盾にしながら突進、珍場は瞬足スキルを使いながら自分の分身を盾にしながら前に出る。
近づいてきたゴリオにトーチは槍の魔法を放つも、戦斧がそれを破壊し死角に回り込んだ珍場が斬り込む!
それをノールックの銃撃で迎撃するトーチだったが、倒したのは珍場の分身だった。
ナイフを投擲する珍場、間合いを詰める珍場、回り込もうと動き回る珍場・・・まだ、本体を合わせれば5体もの珍場がいる。
しかし、地面からも槍の魔法が飛び出し近づいてきた珍場の分身がまたやられた。
「ウホッ!!」
銃撃を受けながらも、戦斧を振るうゴリオの攻撃を飛び退いてかわしたところに猿田が援護の矢を次々と放ち、更にヒカリが召喚したギラファノコギリクワガタが上空から襲いかかる!
攻撃は回避したが、トーチはたまらず建物の中に逃げ込んだ。
「強くなってるね、だいぶ」
「おかげさんでね。レベルも連携力も前より格段に上がってるよ。さぁ、観念して出てきたらどうだい?」
建物に容赦無くブロンテ・デルタを撃ち込みあぶり出そうとヒカリ・・・崩れゆく建物から、やむを得ず姿を見せるトーチ。
「チッ・・・迷いが無いね、攻めに」
後退を余儀無くされ、トーチは舌打ちをした。
「随分、劣勢みたいじゃないかトーチ」
「お姉さん達が手を貸してやろうか?」
そこに現れたのは・・・ヒカリの母であり、類人猿トリオ達に『姉御』と呼ばれ慕われていたアカリと四人に敗れたノン・ダークレイだった。
「・・・お母さん」
「「「姉御!?」」」
いるかも知れない・・・ヒカリがマップを小まめに見ていた理由の一つには、それもあった。
「ちょい!私もいるでしょ~が!」
自分に反応が無い事にご立腹のノンは、膨れっ面でヒカリ達に言う。
「あんたも一緒かい。ノン・ダークレイ・・・で、お母さん達もあたいらと闘ろうってのかい?」
ニヤリと笑う二人に対し、トーチは不機嫌そうに口を開く。
「信用するとでも?後ろから刺されるのがオチだ」
悔しそうな表情を浮かべ、トーチはそのまま撤退した。
「・・・だから、後ろからドカーンとやっちゃえって言ったじゃない」
「それはあまりにも卑怯だろ。あたいの性分に合わないんだよ」
言い合う二人を見ながら、ヒカリも類人猿トリオも涙を浮かべていた。
「お母さん」
「「「姉御ぉ!」」」
アカリは駆け寄るヒカリを抱きしめる。
「・・・ゴメンね、こんな形で会いたくは無かったんだけど」
「・・・本当は、会いたかった。お母さんに会いたかったんだよ。エターナルコアを集めれば、生き返らせる事もできるかもって・・・でもそれが正解なのか、ずっと悩んでたんだから!」
堪えきれず涙を流すヒカリの頭をアカリは優しく撫でる。
「あたいは、やっちゃいけない事をした。生き返って、幸せになっちまったら殺した人達に示しがつかない。だから、良いんだよ・・・それはともかく、ちょいと気になる事があるんだ」
「なに?」
「え~と・・・ヒカリは知らないだろうから、ゴリオ達にだな・・・せ、セインとキョウカちゃんは元気かい?」
「セインの旦那は、さっきダークネクロスを倒して安全地帯で回復中っス。キョウカちゃんも、ワルタさん達と一緒にダークネクロスを倒したっスよ!」
珍場の話を聞き、アカリは微笑む。
「そっか・・・できれば、ジュンちゃんとマキナちゃんにも会って謝りたかったんだけどね」
残念そうな表情を浮かべるアカリに猿田が大きな声で言う。
「会えば良いじゃないですか!」
アカリが死んだ時、もっとも立ち直るのが遅かったのは猿田だった。
故に含みがある、その言葉に過剰な反応を示した。
「私達、人間の魂を吸収してないんだよ。だから、間も無く塵になっちまうのさ」
ノンは苦笑い浮かべ、自分たちが長く無い事を告げる。
「まぁ、そんな訳で・・・せいぜい、あと20分くらいかね?やるべき事の前にやっぱりヒカリにだけは会いたくてね」
「・・・なんですか、やるべき事って!?」
「そんなに興奮するなよ、猿田。町の中心にデカいビルがあるだろ?そこにマスター達がいる。あたいらは、奴らに不意討ちを仕掛ける・・・この事をセイン達に伝えておくれ」
そう言って、アカリはヒカリから離れてノンと共に背を向けて歩き出す。
「それなら、あたい達も!」
「あんた達だけじゃ、戦力不足だよ。マスターの元には最強のダークネクロスが二人と、得たいの知れない騎士が二人・・・多分、トーチも合流してるし、他のダークネクロスや魔物も集まってるかも知れない。だから、わかるよな?」
アカリ達を突き放し、二人は振り返る事無く先を行く。
取り残された四人・・・そんな中、声をあげたのはゴリオだった。
「ウホッ、サーチィさんを通して現状を報告しよう」
「・・・やっぱ、俺は行く!少しでも姉御と一緒にいてぇんだよ!」
「まちな!それはあたいだって一緒さ・・・けど!」
「けど、なんだってんです?足手まといにならない為に力を付けてきたんだ!俺は・・・姉御となら、死んだって構わねぇ!」
猿田はヒカリの制止も聞かず、アカリ達を追って行ってしまった。
「・・・バカっスよね、猿田」
「本当にバカだよ・・・ゴリオ、サーチィさんには?」
「ウホッ、伝えた」
「なら、問題は無いね・・・皆が来るのを待つのが正解なのは分かってる。けど、猿田を放ってはおけないから・・・良いかい?」
「あ~最後にキョウカちゃんと会いたかったっス」
「ウホッ、勝てば良い話だ」
「最後の最後に泥船に乗せちまって悪いね。けど、付き合ってくれるかい?」
ゴリオと珍場は無言で頷き、三人は猿田の後を追いかける。
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