悪魔の騎士、復活

1/1
30人が本棚に入れています
本棚に追加
/251ページ

悪魔の騎士、復活

ショコ、シャゲ、キリコの前に魔物達が立ちはだかる。 「魔物が集まってる!?」 「ショコ姉ちゃん、ここはおいら達に任せて!」 キリコも無言で頷き、ショコは急いで自宅へと向かう。 窓ガラスが割れる音と共に母親の悲鳴をあげた。 「母さん!クレスン、貫いて!」 母親に襲いかかったワーウルフをヘラクレスオオカブトムシ型の魔物が鋭い角で背中から貫く! 「う、うわぁ!?今度は巨大虫かよ!」 金属バットを構える兄に「大丈夫、この子は友達だから!」と呼び掛ける。 「し、ショコ?なんだ、その格好・・・それに頭もピンクだし」 驚く兄、母親、父親に「事情を説明してる暇は無いの!とにかく、あたしの言う通りに!」と話をし、サーチィを通して鈴木と工藤を呼び寄せる。 「鈴木さん、工藤さん。あたしの家族、お願いします」 心配そうな表情の母親と父親を鈴木と工藤が先に瞬間移動で安全地帯まで連れて行く。 残った兄が、姉の遺影を手に取りショコを見る。 「コスプレイヤー達が化け物と戦ってるのは知ってたけど・・・まさか、お前も戦ってるのか?」 「うん・・・私達じゃなきゃ倒せないの」 「そんなの、警察や自衛隊に任せりゃ良いだろ!?お前に万が一の事があったら・・・」 「の敵には、現代兵器は通用しないんだって・・・だから、あたし達が何とかしなくちゃならないの」 戻ってきた鈴木が、ショコの兄に声をかける。 「そういう訳です。妹さんが心配なのはわかりますが、お兄さんがいてはショコさん達は戦いに集中できません。さぁ、行きましょう」 ショコの兄は悔しそうな表情で、姉の遺影をショコに向けた。 「いいか、家族皆で待ってるからな?必ず・・・必ず、戻ってくるんだぞ」 「うん。約束する」 鈴木と共に兄が姿を消すと同時に、ミノタウロスとバフォメットも家の中へと入って来た。 「・・・人の家に勝手に入らないでよ!ソーリー、アル、サッちゃん、ミーちゃん、スーちゃん!」 砂サソリ、アルマジロ、サイガ、砂ネコ、砂スライムと小型、中型のモンスターを次々と呼び出し、自身も魔法や鞭で攻撃し魔物達を次々と倒して行く! そのまま家の外に出ると、まだまだ沢山の魔物達が向かって来た。 「数が多い・・・ワー君、ムーちゃん!」 サンドワームを呼び出し、一気に魔物達を薙ぎ倒す! ショコは息を切らしながら、ワイバーンの背中に乗る。 「はぁ、はぁ・・・シャゲとキリコちゃんは?」 上空から二人を探すショコ・・・シャゲとキリコはダークネクロス『チェン・ソウン』と戦っていた。 「アイツ・・・あの時のダークネクロス!?」 チェンは巨大なノコギリと全身から飛び出す刃でシャゲが描いた模写バルゴスと、キリコが描いた白雪の女神キオネーを瞬く間に斬って捨てる。 「そんな・・・おいら達の最大画力が通用しないなんて!?」 「我に紛い物で勝とうなど、片腹痛い。さぁ、あの男・・・悪魔の騎士を呼べ!呼ばぬなら、お前らの悲鳴を呼び鈴代わりにするまでよ!」 攻撃しようとするチェンから二人を守るべく、ショコは魔物を召喚する。 「モカちゃん、ウル君!」 ヴィケンディーで友達になったカモシカ型の魔物モカちゃんがキリコを、狼型の魔物ウル君がシャゲを瞬時に背中に乗せて離脱した。 更に、ショコは魔法でチェンを攻撃する。 「フローガ・デルタ!」 チェンはそれを回避し空を見上げた。 「あの時の魔物使いか。かなりの数を同時に使役して尚、魔法攻撃するとは・・・随分とレベルアップしたようだな。だが、我には殺生与奪のスキルがある。一匹ずつ殺してやろう」 魔物はゲーム内では、倒されても死なない。 しかし、チェンの所有するスキルは魔物を殺す事ができる。 自分の魔物(ともだち)を危険な目には合わせたく無い・・・しかし、チェンを見過ごす事はできない。 「皆、戻って!」 ショコは魔物達を撤退させ、自分の友達の中で最も強力な氷山竜を召喚し頭に飛び乗る。 「アイスン、吹雪の吐息で動きを止めて!」 氷山竜の吐息がチェンと共に周囲の建物を凍らせ、一面があっという間に銀世界と化す。 「今!踏み潰して、アイスン!!」 20mを越える圧倒的巨体でのジャンピングスタンプ! しかし、チェンの身体から無数の刃が飛び出し氷の破片が飛び散る。 「凍結部分を砕いて、解除した!?」 それと同時にチェンのノコギリが氷山竜と同じくらいに巨大化した! 「この程度で我が屈すると思ったか?竜ごと真っ二つにしてくれる!」 あ、これ・・・無理なヤツだ。 飛んでかわせるスピードではない、闘気を纏った巨大ノコギリがショコの眼前へと迫る。 ショコが死を覚悟した瞬間!突如、何かが横切り激しい金属音と共にノコギリを受け止めた。 は踏んばりが効かない空中に氷の魔法で足場をつくり、巨大ノコギリの一撃を弾き返す。 白い髪、褐色の肌・・・ワルタと瓜二つの姿をした男は氷山竜の肩に飛び乗り、大剣を構え背を向けたまま言った。 「間一髪だったな」 「なんで・・・あなたが?」 「あ、アキニィ!?」 鎧を着ていなくても、手にした黒い大剣を見てショコとシャゲはすぐにわかった。 「初期装備の革の服・・・だが、その大剣は悪魔の騎士か?」 チェンはノコギリを元に戻し見上げる。 「急いでいたからな。防具を調達する暇が無かった」 「バルゴス・・・なの?」 ショコの問いに、バルゴスが答える。 「マスター(ワルタ)が小さな神達に頼んで、エターナルコアで俺のデータを復元しネクロスとして復活させてくれた」 ショコとシャゲは涙を流しながら、身体を震わせた。 「もう、相変わらず良いタイミングで来るんだから!」 「アニキ、アニキィ~!」 喜ぶ二人を見ながら、キリコは呟く。 「この方が、シャゲ君の模写のオリジナル・・・」 キリコに気づいたバルゴスが、地上に降り2人の元へ歩み寄る。 「アニギィー!」 抱きつくシャゲの頭を撫で、バルゴスはキリコに会釈した。 「シャゲが世話になっている感じかな?魔騎士のバルゴスだ。宜しく」 「キリコと申します。シャゲ君のフィアンセなのです。宜しくお願い致します」 フィアンセ? その言葉に一瞬、シャゲが「え?」という表情を見せる。 「そうか、そんなに親しい中だったか」 いや、おいらは普通に友達だとばかり・・・そんな言葉を口にしようとする中、チェンが動き出す。 「我を舐めてるのか?呑気に自己紹介なんぞしおって・・・スキル、召集!」 チェンの元に魔物達が集まり始めた! 「魔物共、雑魚を足止めしろ。さぁ、悪魔の騎士よ。我の(痛み)を存分に与えてやろう!」 翼を生やしたバフォメットがショコと氷山竜に向かって行き、ミノタウロスとワーウルフがバルゴス、シャゲ、キリコの方へ突進してきた! 「シャゲ、キリコちゃん。魔物は任せる」 「OK、アニキ!」 「お任せ下さい」 バルゴスはチェンのノコギリを避け、身体中についた傷痕から飛び出す刃もバックステップで回避する。 「フン・・・防具が無い以上、一撃入れば終わりだな」 「貴様ごときに防具は必要無い」 「我は以前とは違う。この世界に来て、何十人もの人間の魂を吸収しレベルアップした!更に、マスターからスキルも強化して貰った!」 「・・・レベル自慢にスキル自慢か。下らん」 大剣を構え、鋭い眼光でチェンを睨むバルゴスに対しチェンは額に血管を浮かべて怒鳴る。 「その減らず口、永遠にきけなくしてくれる!」 その言葉を聞き、バルゴスは鼻で笑う。 「フン、貴様が手にかけた人々に懺悔しながら死ぬが良い。口がきけるウチにな」
/251ページ

最初のコメントを投稿しよう!