そして君と再会した

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そして君と再会した

『ETERNAL UNDERWORLDの世界へようこそ!ここには、あなたの全てが記録され別世界に反映されます』 俺の全て・・・そういえば、事前登録する時にスマホで指紋認証を求められた際に不思議な感じがした。 指紋を読み取っていただけなのに、身体全体をスキャンされているような不思議な感覚だった。 キャラクターの性別は・・・男、初期画面に映し出されたキャラクターは俺と瓜二つだったので、特に変更しないでスタートした。 なんだ、このキラキラ光る三角形の宝石みたいなモノは? 神秘的なエメラルドグリーンの光を放つ宝石みたいなモノが波のように押し寄せてきた! それに飲み込まれ、思わず目をつぶる。 どこからか、鳥のさえずりと風に吹かれて揺れる木々のせせらぎが聞こえてきた。 目を開けると、そこは豊かな自然が広がった森の中だった。 「う、わぁ・・・」 現実より美しい森の中に太陽の光が差し込む。 気のせいか、肌に柔らかい風を感じるし陽射しの暖かさまで感じる。 土の感触まで伝わってくるような、一本道を歩きながら呟いた。 「すごいな・・・何もかもが、現実離れした現実って感じだ。服もちゃんと着ている感じがする」 服は革製の茶色いタートルネックの七分袖シャツに革製の茶色いパンツ、靴も茶色い革靴だ。 全身、茶色いか・・・まぁ、これが初期装備なんだろうな。 美しい景色のおかげで、ほんの少し心が穏やかになった気がした。 「純太・・・お前にも、見せたかったな」 「本当に凄いよねぇ~てか、渉のキャラクター何でそんなダサイ服なの?」 声が聞こえた方を振り向くと、そこには可愛らしい少女の姿があった。 金髪のショートツインテールで後ろ髪は肩にかかるくらいの長さ、目は少しつり上がり気味のパッチリ二重、瞳は大きく、緑がかっている。 色白で透き通るような美しい肌に、服は緑色のチェニックワンピース、黒いニーハイブーツ。 身長は160くらいか?ブーツを履いてるから、167くらいはありそうだ。 あと、胸がでかい。 それより何より、声が・・・純太に似ている。 「どう、可愛くない?てか、渉にそっくりだから渉だと思って話しかけちゃったけど、違ってたらヤバいなぁ」 少女は自分の姿を俺に見せるように、くるんと身体を横回転させた。 「お~い、何とか言ってよぉ~」 完全に固まっている俺の頬を少女はツンツンとつつく。 なんか、本当につつかれているような感触が・・・気のせいか? 「君は、誰なんだ?何故、俺の名前を?」 俺の方を見て、少女はポカンと口を開け・・・暫くするとケラケラと笑いだした。 「もう、渉だよね?声も渉だしぃー!なんで、わかんないかなぁ~ボクだよ、ボ・ク!」 笑いかた、声、喋り方・・・え、なんで?死んだんじゃなかったのか? 「純太・・・なのか?」 「そうだよ~気づくの遅すぎ」 「純太・・・」 「ふふ、ビックリした?」 俺は思わず、純太を抱き締めた。 「ちょっと、渉ぅ!苦しいって!」 「本当に本当に純太なのか?」 「二人だけの思い出でも語る?5歳の時に野良犬に襲われて、お尻を・・・」 「その話はするな!」 「信じてくれた?」 「それは良いんだが・・・なんだ、そのけしからん胸はー!」 胸の感触がリアルすぎて、俺は思わず純太を突き飛ばしてしまった。 「ちょっと、いきなり何を・・・」 尻もちをついた純太のスカートがめくれ・・・黒いパンツが見えた。 純太は慌てて、スカートを直して立ち上がる。 「見た?」 「・・・何の事だ?」 「ボクのパンツ見た?」 「見てない!」 それにしても、何がどうなってるんだ? まさか、本当に・・・このゲームはプレーヤーの全てを記録して反映したのか?それが、死者であっても!? 俺は軽く咳払いして、純太に問う。 「ん、んん!ところで、純太は死んだってのは事実なのか?」 「うん、おっちんだよ!吐血して、死ぬほど苦しかった。まぁ、死んだけど」 「このゲームは、死者のデータから魂をゲーム内で再構築したのか?そんなバカな事が・・・」 「ほら、流行ってるじゃん?転生するやつ。それだよ、きっと!」 「そうだとしても、何で女の子に!?」 急に純太はモジモジしながら、うつむいた。 「それは・・・そっちの方が渉が喜ぶかなぁ~って」 純太・・・気持ちは嬉しいが、俺が好きなのは生前の純太なんだ。 ホモでは無い。断じて。俺はとにかく、純太が好きで他の男にも女にも生まれてこのかた、ときめいた事が無い。 とはいえ、それを純太に言えるわけも無く・・・ 「ん、確かに、可愛いよな」 「でしょ!可愛いでしょ?でね、名前も純太じゃなくてジュンにしてるからジュンって呼んでね!」 「わかった、純太・・・じゃなくて、ジュンな」 あぁ、スッゴい笑顔だ・・・可愛いって言われてめちゃくちゃ喜んでる。 そうだ、俺は純太の見た目だけが好きだった訳じゃない!中身が大切!なにより、またこうして純太と再会できたんだ!こんな嬉しい事は無い! 「あ・・・」 そう思ったら、涙が溢れた。 あんなに泣いたのに、また溢れる涙・・・でも、理由が違う。 悲しみでは無く、喜びの涙は込められた思いからか温かく感じる。 「渉、泣いてる?はは、このゲーム・・・涙も出るんだね」 そう言って、純太・・・もとい、ジュンも涙を浮かべた。 「ボク、また渉と会えて・・・本当に嬉しいよ。神様っているんだね!」 神様か・・・まぁ、少しくらいは信じてやっても良いかな。 そう思いながら、俺は苦笑いを浮かべる。 「とりあえず、フレンド申請するね!フレンドになるとお互いのステータスとか見せ合えたりアイテムの受け渡しできるみたいだから・・・しよ?」 しよ?って、妙に上目遣いで言われると・・・なんだか、いかがわしいな。狙ってやってるのか? 『ジュンからのフレンド申請がきています。承認しますか? はい いいえ』というメッセージが眼前に浮かび上がり、俺は『はい』に手を伸ばした。 これでフレンドとかいうのになれたのか? 「あれ?渉・・・名前がワルタになってるよ」 どうやら、入力をミスったらしい。 「ワルタ・・・ふふ、悪そうな名前だね!」 微笑むジュンを見ていたら、そんな些細な事など気にならなかった。 形はどうあれ、また一緒にいられるならゲームでも何でも構わないと思った。 序章・・・終
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