28人が本棚に入れています
本棚に追加
おかえり、ただいま
マニーガッチャで手に入った武器、防具は・・・
鋼の長剣、革の鎧、革の盾、鋼の胸当て、赤い杖、革の鎧、革の盾、黄色い杖、鋼の槍、鋼の短剣・・・革の鎧と革の盾がダブったな。
骨の森に行く前に装備しておこう。
「あ、そういえばエターナルコアについてまだ聞いてませんでした」
「エターナルコアは、この世界では希少な三角の光る石だ。それを集めると、様々な願いが叶うって話さ」
「願いが叶う?」
「まぁ、選択肢から選ぶみたいだけどな。アタイも、やったことはねぇから分からんよ」
今すぐ必要なアイテムでは無さそうだな。それにしても、エターナルコアは長くて呼び辛い。
「なぁ、ジュン。エターナルコアって略したいよな」
「そうだねぇ~じゃあ、エナコ?」
「あ~・・・それ、何か知らんが色々と面倒な事になりそうな気がするから、エナコアにしようか」
さて、装備を変更する訳だが試着室とかあるのかな?
「あん?着替える部屋だぁ!?しょうがねぇクソガキどもだ。ソコの部屋なら、使っていいぞ」
「俺はここでも良いから、ジュンは部屋で着替えな」
「ん~チェニック脱ぎたくないなぁ~胸当てが重ねてつけれるから、それと杖だけで良いよ」
「了解、なら俺は革の鎧と革の盾、武器は鋼の長剣にするか」
ステータスを開くと、円形グラフの中央のピンクの丸に青い突起が重なっていてグラフが伸びている。
どうやら、青いのは武器や防具の効果でステータスアップしている部分のようだ。
だから、さっきジュンは「チェニック装備してるから」と言ったのか。
てか、革の服は何にもステータスに強化補正入らないのか・・・裸みたいな扱いは酷いような気もする。
革の服の上から革の鎧を着たら防御力が上がった気がするぞ。
ジュンは胸当てと赤い杖を装備し、他はバッグに入れる。
バッグより大きいモノが何故か吸い込まれるように入っていく。四次元ポケットみたいだな。
さて、じゃあ骨の森に行くとするか。
と、思った矢先!サーチィさんの声が聞こえてきた。
『骨の森のスケルトンは、今のレベルだと正に骨が折れると思いますよ。近くの森で1~2レベルアップさせてからの方が良いかと』
「了解です。良し、町近くの森に行ってみよう」
「ラジャー!」
森の中に入ると、チュートリアルで見かけたスライスがぷよぷよ蠢いている。
さっきは青いやつしかいなかったが、赤、黄色、緑とバリエーションが豊富だな。
『其々のスライスにレアアイテムがあるので、運が良ければ手に入りますよ!』
良し、とりあえず近づいてみるか・・・ぐぁ!?
いきなり、後ろから赤いスライスに体当たりされた!
「大丈夫、ワルタ!?こいつ、えい!」
ジュンが杖で殴りつけると、赤いスライスはアイテムを落として逃げて行った。
「マニーと薬草だけだね」
「まぁ、レアっていうくらいだからなかなか落とさないんだろうな。ぐはぁ!?」
またもや、赤いスライムが俺に体当たりしてきた!?
スライムに攻撃される→ジュンがスライムを撃退→時々、薬草で回復・・・なんか俺、ただただ攻撃されてるだけなんだが?
そうこうしているウチにレベルが上がり、ジュンは攻撃力と素早さ、俺は防御力と体力が多めに上がった。
「攻撃を受けてばかりだったから、こうなったのか?」
「それっぽいね~てか、ワルタは敵の動きに全く気づいてないのヤバいね。もう少し、回りを警戒したり音を聞いたりしないと」
「面目ない・・・こんなんじゃ、ジュンを守れるナイトになるのは程遠いな」
俺の言葉を聞き、ジュンは少し嬉しそうに笑った。
「期待してるよ!今は、ボクがワルタを守ってあげるね!」
『きっと、これから上手くなりますよ!それより、もうそろそろ日付が変わりますよ?』
サーチィさんに言われ、ステータス画面を開くと間もなく0時になる。
「今日はボチボチ終わりにしよう。ジュンは・・・寝泊まりどうすれば?」
『町に宿屋がありますから、そこでお休み下さい。ワルタ君も町へ戻ってログアウトしましょう。最後にログアウトした場所からゲームがスタートするので、安全な場所がオススメですよ』
町に戻った俺たちは宿屋のふくよかな体型の店主に声をかける。
「じゃあ、また明日な!」
「うん、待ってるからねぇ~」
明日の約束ができる・・・当たり前の事が、こんなに幸せだなんて知らなかった。
前途多難だが、本当にこのゲームをやって良かったと思った。
「サーチィさんも、ありがとうございました。明日も宜しくお願いします」
『こちらこそ!では、おやすみなさい』
「おやすみ、ワルタ!」
「おやすみ、ジュン」
俺は寝る前に少しゲームシステムについて勉強してから眠りについた。
明日が楽しみなのは、小学生の頃に行った家族遠足以来かな?
翌日、俺は授業が終わると同時に教室から出て正面玄関へと向かう。
「あ、あの・・・」
声をかけられ、振り向くと昨日の女子・・・境さんがいた。
あれ?
境さんって、なんかジュンに似てるな。
目はジュンの方がちょっとつり上がってるが、髪型のせいか?
俺は思わず、胸を見る・・・うむ、あのけしからん胸よりはだいぶ小さい。
あれはちょっとデカすぎるよな。サイズは90~100くらいはありそうだ。
「え?渉先輩、どこ見てるんですか!?」
「いや、胸が普通だなって・・・ハッ!?」
思わぬ失言に自ら口を押さえたが、境さんは顔を赤くして涙ぐんでいる。
「ご、ごめん!違うんだ、今のは・・・誉めてるんだ!」
「へ?」
「人間、バランスが良い方が美しい!そういう事で!」
とりあえず、謝ったし良いだろ。そう思いながら、俺はさっさと靴を履いて自宅へダッシュする。
そして、すぐさまETERNAL UNDERWORLDにログインした。
昨日同様、三角形の石が放つエメラルドグリーンの神秘的な光に包まれる・・・なんだか、とても心地よい。
目を開けると、そこは昨日の宿屋だった。
「お、お客さん!おかえりなさい」
ふくよかな体型の店主に挨拶をし、ジュンの姿が見えないのでどこへ行ったか尋ねる。
「あぁ、ジュンちゃんなら森でスライスと戯れてるよ。お客さんも行ってきな」
1人で森に行ったのか、まぁスライスに負けたりしないだろうが・・・やっぱりちょっと心配だ。
「サーチィさん、聞こえますか?」
『聞こえますよ!おかえりなさい、ワルタ君』
そういえば、親父はめったに帰ってこないから・・・こんな挨拶するのは久しぶりだ。
「ただいま!」
俺は元気に挨拶をした。
最初のコメントを投稿しよう!