骨の森へ行こう

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骨の森へ行こう

昨日の森に入ると、さっそくスライムから手荒い歓迎を受けた。 しかし、レベルが上がったからか昨日より痛く無い。 「よう、赤スライム!もう痛くも痒くもないぞ?よし、相手になってやる」 赤スライムと格闘する事、3分・・・ようやく俺は赤スライムを撃退した。 「やった!とうとう、自力でスライムを撃退したぞ!」 『あはははは・・・良かったですね、ワルタ君』 どれ、アイテムは・・・なんか、赤い本が落ちてるぞ? 「何ですかね、これ?」 『あー!それ、レアアイテムですよ!初級の炎魔法が習得できます!ジュンさんにプレゼントしたら、喜びますよ』 そういえば、魔法使いたいって言ってたな。 「ワルタ~!」 お、噂をすればなんとやら・・・ジュンが駆け寄ってきたぞ。 か~ら~の~、ハグ!? 胸の柔らかな弾力が・・・いやいや、なんでゲームなのにこんなに感触あるんだよ。 「おかえり、ワルタ」 俺に抱きつきながら、上目遣いで見つめてくるジュン・・・ん~やっぱり、あの女子に似てるな。まぁ、髪型が同じだと女子はだいたい一緒に見えるからな。 「なんかさぁ~反応ワルタじゃない?リアクションうっすぃ~」 「ん、あ、ただいま!てか、離れろ。胸の弾力がスライムに攻撃された時に似ててダメージ受けそうだ」 俺から離れたジュンは膨れっ面で俺を睨む。 「今のところはさぁ~もう少しドギマギするとか、抱き返すとかじゃないの~?」 『あらあら、ジュンちゃんご立腹ですよ』 「そうは言われても、女子の扱いは良くわからんし・・・ちなみに、その胸ってサイズどれくらいなんだ?」 「え?100 ちなみにスリーサイズは100 57 90に設定してるよ」 『二次元設定ですね~』 「バランスやばないか?それって変えることも?」 「え~変えられるけどぉ?なに、ワルタってちっぱい好き?」 ちっぱい?あぁ、小さい胸って意味かな。どうなんだろう・・・純太はそもそも胸が無かったからな。 「もしかしたら、そうかも知れん。試しにバストだけ88にしてみてくれ」 ジュンは渋々、バストの設定を88に変更した。 『お~自然な感じですね。それでも充分、大きいような』 「ん~確かに、バランスは良いかなぁ?でも、せっかく女の子になったんだから巨乳楽しみたいじゃない?」 「まぁ、俺がゲームやアニメに疎いから違和感強いのかもな。戻して良いぞ」 「結局、ワルタはどっちが良かったのさ?」 「どっちでも構わん。ジュンはジュンだからな。見た目で好きになった訳じゃないし」 不機嫌そうだったジュンが、少し真顔になった後、ニコニコし始めた。 「なんか、それ嬉しいかも。ワルタ好みなら、しばらくこっちにしようかなぁ~」 『ワルタ君、なかなかハッキリ言うタイプなんですね!』 「え、何をですか?」 『好きって言ってたじゃないですか』 あ、言ってたかも。 「それは、その、LikeとLoveのナンとやらで・・・」 ドギマギする俺を見て、ジュンはニタニタ笑っている。 「そういう反応が見たかったんだよねぇ~ボクは!」 「ジュンはアニメや漫画の見すぎだな・・・それより、これ」 さっき手に入れた本を手渡す。 「何、これ?」 『ワルタ君が手に入れた、赤スライムのレアアイテムですよ。使用すると初期の炎魔法が習得できますよ!』 「えー!最高じゃん!良いの、貰っちゃって!?」 「あぁ、俺はまだ進路が決まってないからな」 喜んでるなぁ~本を両手で高々とあげてる。欲しい物を貰った時、昔からああいうリアクションしてたっけ。純太っぽくて可愛いなぁ。 いかんいかん、また生前の純太を重ねてジュンを可愛いと思ってしまった。 「よーし、ボクは炎系の魔法を極めるぞー!」 やる気満々だな。俺はどうしたものか。 『進路ですか・・・現状を見た限りだと、ジュンちゃんが魔法使いならワルタさんは守護騎士を目指すのが良さそうですね。まぁ、ジョブチェンジはまだまだ先の話ですけれど』 「この世界にも、職業があるんですね」 『最初は皆、冒険者ですが一定レベルに到達すると試験クエストを受けられるようになるので、そこから色々なジョブにチェンジできるようになりますよ!』 「なるほど、ちなみに守護騎士というのはどんなジョブなんですか?」 『素早い攻撃が苦手な分、護りに特化したステータスとスキルが身に付き、ある程度の回復魔法も使う事ができますよ』 俺はどうにも操作が下手だから、動き回って華麗に戦うのは無理そうだし・・・確かに、合っているかも知れない。 ジュンは既にレベル5になっており、俺もレベル3になった。 『とりあえず、骨の森に行ってみましょう。スケルトンは炎に弱いので、このタイミングで魔法を覚える事ができたのはラッキーですね!』 サーチィさんに言われた通りにし、いざ骨の森へ足を踏み込む。 すると・・・突然空が曇り出し、森の中が薄暗くなった。 澄んだ印象だった空気までも、なんだか息苦しく感じる。 カラン、コロンと骨がぶつかり合う音をたてながら、人の骨が歩いている姿が見えた。 「あれが、スケルトン・・・定番のモンスターだね!」 言うが早いか、ジュンは杖を構える。 「いくよー!炎の初級魔法『フローガ』!」 いきなり、ぶっぱなした!?ソフトボールくらいの大きさの火の玉が、一直線にスケルトン目掛けて飛んでいく! 「ほ?ほねぇー!?」 不意打ちを食らったスケルトンは、断末魔の叫びをあげて燃え尽きてしまった。 「一撃かよ・・・凄い威力だな!?これで初級なのか?」 『弱点だから、というのもありますね。ただ、そんなに連発はできないですよ』 「うん、何となくだけどわかるね。あと、2発しか撃てそうにないや」 「なるほど、なら次は物理攻撃だとどんなもんか試してみないとな」 俺たちは再び歩いてくるスケルトンに近づき、今度は接近戦を試みる事にした。
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