ギアキュア

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ギアキュア

 ギアノイドと人間が一体化してる姿のことをアーマー体と言う。 ラピス曰く、このアーマー体は通常より重いものや怪力が出せたりするがギアノイドの個性によって得意なスキルや必殺技が違ってくるようだ。 「んもう!大体、ラピちゃんのお友達のヘントはそこまでパワータイプじゃないっての!」 ぶつくさ文句を言いながらペリドットに肩を貸す。 『隗」髯、』 ペリドット達もアーマー体を解除してよろよろと立ち上がる。 「ちょっと新人、早いとこ手伝いなさいよ。 いいわよねぇ足の奴らは、逃げ足が早いし、攻撃力も無駄に高いし。」 嫌味を言われつつ、アタシはもう片方の肩を支える。 「いてて、済まないな。 んで、どこに連れて行くつもりだ?」 前を歩くノイマンに尋ねるが彼は黙ったまま。 「えーっとさ取り敢えずアンタは何のために市中を出歩いてたか理由を聞いてもいい?」 アタシが尋ねるとノイマンは軽い口調で言う。 「単に日課の散歩さ。 この世界は時期に滅びることが決まってる。 だからこそこの目に焼き付けておきたいのさ。」 恐ろしい予言にラピスがヒステリックに詰問する。 「どうして滅びるって断言できるのよ! ラピちゃんはこんな若くして死にたくないわ!」 「落ち着いてラピス…先輩。」 先輩を付けたくないが渋々言うと少しだけ押し黙る。 「んーん、これは単なる当てずっぽうとか予言じゃなくてボクなりの資源残数を計算した根拠のある結果さ。」 くるくると回りながらふらふらと進む。 不審な動きにアタシらは警戒をより強める。 「あ?疑ってるね。 いいもん、滅びてもボクのせいじゃないしAIの元老院達は誰も聞く耳を持たないからいい加減、癖癖してたんだ。 君らに力を貸してあげてもいいよ。 但し、ボクが飽きるまでね。」 まるでおもちゃを品定めするような子供のようだ。 「…ペリドット承諾していいの?」 ラピスが耳打ちすると彼はバツが悪そうに目を逸らす。 「仕方がねーだろ。 俺は解除したとはいえ、必殺技を使ったから動くにうごがねぇんだよ。」 そう言ってヘッドギアを軽く小突くが反応はない。 「見た感じ、オーバーヒートとエネルギー切れのようだから君の相棒は壊れてないよ。そらついたよ。」 アタシ達が見上げる建物はコンクリートの塊の様なビルだった。 窓や入り口はなかった。 アタシ達が首を傾げていると後ろを振り返って彼は急かす。 「何惚けているんだい。 早く来ないと閉じるよ。」 彼がその建物に触れると壁が溶けて入り口が開かれる。 「な、なんなのよその建物。 気色悪いったらありゃしないわ。」 身震いするラピス。 でも進んでもらわないとアタシも困るのだ。 「何?怖気付いたの? 先輩のくせに案外弱虫なんだ。」 ワザと煽るとやる気を出したのかムキになって進み始めるラピス。 「よ、弱虫なんかじゃないわ!ラピちゃんやれば出来る子だってマザーが言ってたもん!!フン!見てなさい!」 案外単純なのかもしれないとアタシも歩調を彼女に合わせる。 「着いた。 ここを起動してっと。」 何もない部屋の床をノイマンが触るとウィーンと小さな機械音が響くとカプセル型のマッサージ機が出てきた。 「さあ、これに彼を寝かせてあげて。 三分もすればきっと多分大丈夫だから。 君たちのことを聞かせてくておくれよ。」 怪しみつつもペリドットを寝かせてラピスと共に床に座る。 「あーごめんごめん。 床に座るとお尻が痛くなってしまうよね。」 そう言いながらノイマンが手を叩くと今度は床からふかふかのソファが現れてアタシ達を包み込む。 「うんうん、やっぱり女の子は柔らかいものが似合うね。」 「…こんなので癒されるって思ってないから。」 言葉はトゲトゲしいが顔を赤らめているラピス。 はっきり言って説得力に欠ける。 「あのさ、話すって言ってもアタシは何も知らないしラピスだってまだ子供だから…。」 子供だと言いかけるとラピスは怒りで立ち上がる。 「子供扱いしないで! なんなのよアンタ!」 「ははあ、君たちはどこかの偵察部隊だとお見受けする。 お嬢さんが先輩であの男が部隊長かな?」 ノイマンの推理にビクリと肩を振るわせる。 何も話してないのに得体の知れない怖さを感じて冷や汗が背を伝う。 『蝟九k縺ェ』 アーノルドが何か指示を出すが理解が追いつかない。 「喋るな…か。 良かったら相棒を翻訳する機器をあげようか?」 どうやら彼は機械言語に詳しいらしい。 でもアタシにそんなもの必要ない。 「必要ない。 言葉がわからなくても態度でわかる。」 『縺昴≧縺?縲ゆソコ縺溘■縺ォ縺ッ縺昴s縺ェ繧ゅ?蠢?ヲ√↑縺』 「ははっ、これは興味深い!! 君たちはいい意味で噛み合ってるバディなんだな。 それでそっちの君たちは?」 ラピスの方を見るとヒッと引きつった笑みを浮かべて彼を見るラピス。 「何よ気持ち悪い!! もう帰ろうペリドット!新人!」 「落ち着いてあと一分だから。」 彼女を宥めるのに必死でノイマンの策略にハマっていることをアタシ達はこの時気がついていなかった。   【Next to gear?】
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