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チョイスギア
お腹に鈍い衝撃を受けて目が覚める。
「おっきろー!」
『菴捺クゥ縲∬ц諡榊?縺ォ豁」蟶ク蛟、縲りオキ縺阪※縺セ縺吶?縲』
目を白黒させて起き上がると昨日、アタシに喧嘩を売ってきた少女が馬乗りになっている。
「何?奇襲ってわけ?」
少女を蹴飛ばして距離を取る。
「いったー。最悪。
せっかく起こしてあげたのに何その態度。」
「喧嘩なら買うけど。」
睨み合っていると部屋のドアが開かれる。
「朝っぱらから騒々しいのはやめて。」
紫髪のとても美人な人が眉を寄せてアタシ達を睨んだ。
「もー聞いてよアメジスト。
こいつ、めちゃくちゃ態度悪いのよ。
ラピちゃんがラズリにやった様に起こしてあげたのに。」
少女は美人さんに駆け寄り、文句を言う。
「…ヒップドロップはベッドも壊れるから禁止ってガーネットに言われなかった?」
静かにいう美人さんにラピスは黙って目を逸らす。
どうやら、アタシは鳩尾にヒップドロップされたらしい。
通りで腹が痛いわけだ。
「新人、ラピスさっさと行くよ。」
「待ってよアメジスト!!」
バタバタと足音をさせてラピスはさっていく。
渋々、アタシもついていくことに。
長机と椅子がいくつかある部屋に通される。
「新人、アレルギーとかある?」
紫髪のたしか、アメジストさんが聞いてくれる。
「特にありません。」
「なら良かった。
カリカリのベーコンの上に目玉焼き乗っけていいよね。」
何枚か平皿にパンケーキが盛られ、ベーコンを間にこれでもかと挟む。
「あ、黄身は硬めに焼く?半熟?」
卵とフライパンを持ってアメジストさんは聞いてくる。
「は、半熟で。」
「ふは、借りてきた猫みたい。
別に気を使わなくてもいいのに。」
ポンポンと優しく頭を撫でられる。
ジュージューと目玉焼きを焼いてパンケーキの上に乗っけてくれる。
「ねー、ラピちゃんのはー?」
ガチャガチャと皿とカトラリーを鳴らすラピス。
めちゃくちゃ行儀が悪いな。
「ラピスはもう食べたでしょ。
おかわり欲しいなら自分で焼きな。」
「えーアメジストが焼くから美味しいのにぃー。」
ラピスが駄々をこねるとマザーパール達が食堂に入ってきた。
「おはよう。アメちゃん、任せてごめんなさいね。」
「いえ、自分、こんなことしかできませんから。」
寂しそうにアメジストさんは笑う。
ペリドットとガーネットも美味そうだと自分の皿を取って勝手に盛り付けていく。
「アメジスト、マヨネーズは何処だ?」
金髪で少々小太りな男性がキッチンスペースにずかずかと入る。
「シトリン、君が入ると厨房が狭くなるからいつも入ってくるなと注意したはずだが?
少しは痩せたらどうだ。」
「一言多い。」
パチパチとアメジストとシトリンの間に火花が散る。
「シトリン、アメジスト。
厨房で争い事はするなよ。」
ガーネットの一括に二人は顔を背けてお互いの皿を持って席に着く。
険悪なムードで朝食をとる二人。
「そうだ新人。」
食べ終わった皿を片付けようとヘレンが立ち上がるとガーネットが声をかける。
「なんすか?」
「俺たちが朝食を食べ終わったらやることがある。
もちろん君にも関わる事だ。参加してくれるな?」
「事によってはノーと言えるものですか?」
ヘレンが聞くと場の空気が凍りついた。
「悪いが君には拒否権はない。
拒否するなら足を切り落としてアーノルドと離れなければならなくなる。
俺たちはギアノイドと一心同体になっているから君もそうなれば生活がままならないだろう?」
最もな言い草にヘレンは声を荒げ、抗議する。
「アタシは好きでこんな体になったわけじゃない!
親父も殺されて訳のわかんないまま、こんな所に行かされて今度は仲間になれ?
信用できるか!」
彼女の言い分は最もな事だ。
だが、ガーネット達も数奇な運命でギアノイドと一体になってしまった。
それは変わりないのだ。
「テメェだけが被害者だと思うなよクソガキ!」
ペリドットがナイフを叩きつけて立ち上がる。
「そうよそうよ。
ラピちゃん達だって本当は人間の体で別々に生きたかったわ。」
ワッとラピスが手で顔を覆って泣き出す。
「みんな、落ち着こう。
確かに俺たちはギアノイド達のせいで体の一部や愛する者を失った。
だからこそレジスタンスの組織を立ち上げた。
わかってくれとは言わない。
だけど、もし、君がお父さんの無念を元の体を取り戻したいのなら力を貸してくれないか?」
申し訳なさそうにガーネットは片手を差し出す。
その様子を不安げに見る一同。
ヘレンは葛藤しながらも彼等の手を取る事に決めた。
「し、仕方がない。
そこまでいうなら…でも言っておくけど親父の仇の大元をぶっ潰したらオサバラだからな。」
「わかった。
みんな、新人こと、ヘレン・アストリーが加わった。
洗礼の儀をやろうじゃないか!」
その号令に一同全員が立ち上がり、拍手喝采をアタシに送る。
「洗礼って何?」
アタシの呟きにこっそりマザーパールが耳打ちする。
「私たちみたいに名前を変える儀式よ。
今までの過去を断ち切り、戦士としての名を授かるの。」
その説明に余計に不安を覚えるのであった。
【Next to gear?】
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