ギアアンチェイン

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ギアアンチェイン

 ほぼ全裸の人間を見てペリドット達は固まる。 『おい、何なんだよアレ。』 『何って、人間じゃないの?』 コソコソとチャットで連絡を取り合っていると全裸の人間がこちらを振り向く。 「あー!君たち! うん、いいね。ちょうどよかった。」 ペリドットとラピスの肩を組み、全裸男はどこかへ行こうとする。 『縺。繧?▲縺ィ縲√←縺薙∈陦後¥縺ョ?』 機械語で全裸男に語りかけるとヘラヘラと笑いながら彼は言う。 「無理に機械語を使わなくていいよ。 君ら、人類でしょ?」 その返答に三人は驚愕する。 周りのギアノイドもザワザワと三人を奇異の目で見る。 「ほらほら、素直にボクと一緒に来た方が身のためだよ。」 渋々、後をついていく。 『…こいつ怪しいな。 二人は攻撃するな。』 ペリドットがチャットで指示するがハッキングされてしまう。 『へー君たちこんな旧時代のチャットを使うとはね。』 チャット名にノイマンと見ず知らずの名前にアタシ達は困惑する。 『アンタ、何者だ。』 『何者ってまあ、強いて言えば君らと同じ神に造られた肉人形さ。 ただし、ギアノイドを整備するための唯一の神造物(じんぞうぶつ)だけどね。』 『イカれてやがる。 宗教勧誘なら他でやってくれ。』 ペリドットは肩からノイマンの腕を払って距離を取る。 『無神論者なのは結構だけど君ら人類は窮地に立たされてる自覚を持ってもらわないといけないんだけどなぁ。』 呆れた様な物言いにペリドットはより警戒を強める。 『窮地ってAIのせいで仕事も居住地も食物も奪われてどうしろって言うんだ!』 ペリドットの怒りにラピスもアタシも同意する。 『わかってないな。君らは何もわかってない。 言わせてもらうが君に協力しているそのヘッドギア君は何なんだい?』 ノイマンの指摘に押し黙るしかないペリドット。 『謌代b逾槭?菫。縺倥↑縺?? 縺?縺後?√%縺ョ逕キ縺ッ隕玖セシ縺ソ縺後≠繧九?』 ペリドットのヘッドギアが語りかける。 「へぇ、面白いこと言うね君の相棒。 ちょうどここら一帯は開けているしギアノイドも寄り付かない場所だ。 …少しだけ運動しよっか。」 ノイマンは怪しい笑みを浮かべ、背伸びをする。 「何をする…っし!」 瞬間、鋭い蹴りがペリドットのスーツを破く! 「ちょ、今の今まで喧嘩する要素あった?」 慌てるラピスにノイマンは彼女の肩を掴んで投げる! 「くっ、何よこいつ!」 放り投げられたラピスは咄嗟に受け身を取る。 『菫コ繧剃スソ縺茨シ』 アーノルドが何かを語りかけてくる。 なんとなく使えと言うことはわかった。 「イグニッション!」 初めて出会った時と同じ、足から装甲が這い上がってくる。 このゾワゾワした感覚がアタシは嫌いだ。 「ふーん、いい判断だ。 …でも甘い!」 鋭い突きを交わし、こちらも蹴るが足で制される。 人間の動きにしてはどこか気持ち悪い。 まるで関節がない様なしなやかな攻撃に恐れ慄く。 「「イグニッション!!」」 ペリドットとラピスも変身し、ノイマンに殴りかかるが。 「その攻撃は想定済みさ。」 ぐにゃりと腕の関節が180°後ろへ曲がり、二人の攻撃を防ぐ。 「なっ、こいつ人間じゃない…。」 「だから、神造物って言ったよね。 話通じないのかな。」 手を変え、品を変え、立ち向かうが一向に攻撃が全く当たらない。 「はぁ…はぁ…くそっ、まるで空気を相手してるみてぇだ。」 『蜉帙?縺ェ縲りか縺ョ蜉帙r謚懊¢縲』 「うるせーよアレク。 わかってる。こう言う手合いにはコレだな!!」 そう言って彼は左手を高く掲げる。 「これは俺も反動受けるからなるべく使いたかねーがお前も巻き添えだ!喰らえ!」 『邊貞ュ千?エ螢顔?イ?』 ギアノイドが叫びを上げて目が真っ赤に光る。 瞬間、彼の左手から無数の閃光が放たれる!! 「くっ、これはなかなか厄介だね。」 そう呟きながらもノイマンは閃光の網目を掻い潜り、抜けていく。 「無駄にはさせない!!」 ラピスが飛びかかり、羽交締めにする。 瞬間、閃光の一つがノイマンの肩を掠った。 血が出ると誰もが当たり前に思っていたが傷口がみるみる間に塞がって血の一滴も流さず彼は佇んでいる。 「驚いた? 神造物って物は傷や病気をしない。 君たち人類の憧れである不老不死なのさ。」 「不老…不死…ね。」 アタシの呟きにラピスとペリドットは距離を取る。 「まあ、AIを管理して直す。 それがボクの存在意義であってそれ以外は好き勝手していいって言われてるからね。」 重要なことをあっけらかんというこの男の目的がわからない。 「一旦、戦うことはやめよう。」 「はぁ?アンタ正気?新人!」 アタシの提案に牙を剥くラピス。 「ちょ、タンマ。 俺も一歩も動けねーから。」 弱々しく降参するペリドットにラピスはため息を吐く。 「ふう、わかったよ。 そちらのヤンチャ君はボクの培養ポッドで治療させよう。 担ぐことはできるかい?」 ノイマンの指示に二人して顔を見合わせる。 ペリドットは細身とは言え、男でアタシたちよりもタッパがある。 「常識的に考えてこのか弱いラピスちゃんに力仕事させるつもりぃぃぃぃぃぃ!」 ブチギレのラピスの叫びがこだまするのであった。 【Next to gear?】
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