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中庭
昼休み、購買部で焼きそばパンとフルーツ牛乳を購入して中庭。モヤモヤしながらパンを囓っているとスマホの着信音が鳴る。
『ゴメン!返信遅くなっちゃった。私から声を掛けて驚かせようと思ってたのに見つかっちゃったか。全く浩之君は油断も隙も無いね』能天気な内容になんだか気が抜ける。
『もしかして、退院したの?』
『バレちゃたか……(笑)』何が可笑しいのか理解出来ない。
『教えてくれたら、会いに行ったのに』なんだか彼女と距離が遠くなったような気がして寂しくなった。
『ゴメン!』ペコリと謝るスタンプ。
『でも、病気直ったんだね。良かった』既読されるが、一分弱の時間が空いてから
『ありがとね』とハート付のメッセージ。
『今度、逢えるかな?』勇気を出してこの文章を打ち込んだ。
『退院して落ち着かないから、改めて連絡するね』また、しばらくの間を置いてからの返信。なんだか、スタンプの無い、あっさりとした文章だった。
なにか俺は彼女の気に障るような事を書いてしまったのかと、投稿したメッセージを遡って確認する……、が変な事は書いていないと思う。
『もしかして怒ってる?』
『ううん、怒ってないよ。また、連絡するね』
『解った』この返信を最後に今日のやり取りは終了した。
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