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「あら、遠夜くん…いたのぉ?相変わらず保護者って感じね」
「ミラ…!」
「ふーん、やれるもんならやってみなさい。」
その瞬間、ミラの細い腕が、遠夜の首を押さえつけ、リビングの壁にめり込んだ。
「遠夜!」
「遠夜さん!!」
衝撃で屋敷は揺れ、窓ガラスが割れて床に散らばった。
驚いて飛びかかるカナタたちを制するように、もう片方の手がこちらに向けられる。
ギリギリとミラの細い指が遠夜の頬から首、鎖骨に伝っていく。
「ま、そーいぅとこキライじゃないけどー、力ずくでもあたしのこと止められる?相手を間違えていない?」
「…うっ…」
「わかればいいのよ」
パッと手を離したミラは、わざとらしく振り返り、一番近くにいた遥希との距離をつめた。
「あら、あなた…本当はあの子が欲しいんじゃない?我慢しなくてもいいのよ」
あの子が欲しい そう言われた遥希が息を飲む音が聞こえた。
「まさか…!遥希!目を見るな!」
「……。」
リオが忠告した時にはすでに遅く、遥希はその真っ赤な瞳に囚われて動けなくなっていた。
「さてと、みなさぁん、注目っ!」
ミラがくるっと振り返って途端に歌うように叫んだ。全員の視線がミラに集まる。
「今から人間のところに挨拶に行ってくるけど…」
片手には足元がおぼつかないらしい遥希の胸ぐらを掴んでいる。
「兄弟喧嘩でもしていてちょうだい」
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