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それは、私の顔のすぐ横から聞こえました。
夢だろうと自分に言い聞かせますが、その推測とは反対に私の頭はどんどん冴えていきました。
ブツブツと何かをつぶやくその声が途切れることはなく、さすがの私も恐ろしくなってきました。
早く起きて電気をつけよう__そう思うのに、いくら頑張っても指一本動きません。
ふと、嫌なことに瞼だけが動きました。
こんな恐ろしい声が聞こえる中、目なんて開けたくなかったのにと思いながらも、私はそっと視線を動かしました。
目があった。
そう思った次の瞬間には、部屋の中が明るくなっていました。
よくホラー映画なんかで幽霊を見て気を失った主人公が気がつくと夜が明けていた、なんて安っぽい展開がありますが、まさにあれでした。
あれ以来、怖い体験はしていません。
疲れている時に、たまたま怖い夢を見ただけなのだと思います。
そうでないとやってられません。
よりによって自分の部屋で恐ろしい体験をしてしまったのですから。
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