古本屋

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*** 貧乏学生時代、よく通っていた古本屋があったんだ。 小さな店で古臭くて、店主のじいさんが気さくで気に入ってた。 古い本特有の匂いが心地いい店だった。 就職してからは忙しくてしばらく通ってなかったんだが、ある日じいさんが店を畳むという話を耳にした。 どうやら腰を悪くして、いい機会だからと息子夫婦に同居を提案されたのだという。 いずれ隠居する時が来るとは思っていたが、寂しいものだ、と久々に訪れた俺にじいさんは言った。 どうせ捨てちまうから好きなものを持って行け そうじいさんが言うので、俺は本棚に目をやった。 最近は活字離れしてしまって、何を読みたいかと言われてもすっと出てこない。 しばらく悩んでいると、ある本が目についた。
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