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「びちゃびちゃ」
ほぼ放置していたシャワーの水気で、力が身につけていた衣類はびしょびしょだ。
あとでクリーニングに出さないと、と思いながらバスルームの端に寄せようと壁伝いに立ち上がり、それをバスルームの隅っこにまとめ置くと、トーマは力に背中を向けたまま、泥まみれの靴下を片足ずつ脱ごうとして、片足立ちになる。
「…」
くねっ、くね…と長いしっぽをくねらせてバランスを取り、洗面台と同じ材で作られた壁に手をつき靴下を脱いでいるトーマを黙って見ていた力だったが、両足を脱ぎ切るのを待ちその傍に寄ると、ゆっくりとトーマにその手を伸ばした。
(?)
間近に迫る力の姿を、ガラス越しに見た、瞬間。
にぎ、としっぽの先端近くを力に握り込まれたトーマは、ピンッ! と耳を立てて体を戦慄かせた。
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