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「ちか…」
高い鼻梁を力の滾る楔に近づけ、触れるか触れないかという距離で唇を這わせその名を呼びながら、トーマは筋肉質な腿に絡みつく下着を脱がそうとする。
「…っ……」
物欲しそうな目つきをしているというのに、微妙なラインで自分に触れようとしないトーマを、力は眉を顰め、見下ろした。
…直ぐ様その柔らかそうな口に自分を突き入れ、イッてしまいたい。
そんな顔をして、濡れた唇を浅く開いて喘いでいるくらいなのだから、一思いに咥えて、愛撫してくれてもいいのに。
だけど…と、力の胸の中を一抹の不安が過る。
セックスなんて指折り数えられるほどしか、経験がない。
だから誰かに、こんな状態の自分を舐めてもらった経験もない。
けどそうされるのは、『待て』とも言えないうちにイかされてしまうほど、気持ちいいはず…
そんな欲求が力の頭の中を占めるが、決して自ら腰を突き出してトーマに自身を咥えさせるということはせず、身につけていた衣類を脱がそうとして、滾る楔から顔を逸らして身を屈めたトーマを手伝い、足を動かした。
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