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それで、結局、俺達は籐子さんとお茶を飲むことになった。
一応自己紹介はしたのだが、籐子さんは、何故か俺達を柳斗さんの友達と勘違いしたまま、先代の跡を継ぎ、ハピネスを二人でやってると理解したようだった。
家の中に入ると、野村家が昔ながらの田の字作りの家だということが分かった。
リビングは、洋風にリフォームしたのだろう。フローリングの床、白い壁、大きな窓には、カーテンが揺れていた。奥のキッチンカウンターの前には、小さな4人掛けのダイニングテーブル、部屋の中央には青のソファが置かれていた。
大きな窓の向こうには、色とりどりの花が咲く庭が見えた。中でも一際目を引いたのは、大きな白い花が下を向き、ぶらりと垂れ下がっている植物だった。その花は、鉄砲百合のように細長く花びらの先がスカートの裾のようにクルリと外に反り返っていた。
「あの白い花は、何ですか?」
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