白い花咲く庭の家

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「あらあら、私なんてそんなこと考えたこともなかったわ!雪哉君って、物知りなのねー」  無邪気な彼女の言葉に俺は、ホッとした。  良かったぁ、めんどくさい事にならなくて!ゲンさん、頼むから大人しくしてくれよ。 「ところで、あなた、あの……鶴川さんって、仰ったかしら?ハピネスには、いつからいらしたの?私が行った時には、まだお祖父様ご夫婦がお店をしてらしたけど……  あっ、でも、それも夫が亡くなる前だから、五年以上前の話よね」  籐子さんが俺にそう言った。  5年前か……確かにあの頃は、先代が店を切り盛りしていて、俺もカメも弟子のように働かされてたっけ。  それが嫌で俺達は、玄一郎先生の仕事の手伝いとか言って、サボってさ。よく先生に「僕を口実にしないでくれ」って、言われてたっけなぁ。
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