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プロローグ
私はこれまで、失敗をしたことがないと勝手に思っていた。
中学生という身分でいかに社会に立ち回るか。子供にだって処世術があり、大人は勝手だと思っていても現実はいかに良い子にみられるかを演技する。そんな世界を、自分自身をどこか疎ましく思っていたのかもしれない。
今日、私は初めての失敗をした。
血に濡れた果物ナイフの刃先を見ながら、私は遠くから聞こえてくるサイレンの音に耳を傾ける。
今日、私は「何か」になった。
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