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金曜日
「別に、応えて欲しいとか、思ってない。」 俯く首筋にネックレスのチェーンが光る。
どんな顔をしているのか、覗き込んだけど、 伸びた前髪とマスクのせいで見えない。
「侑斗…」
ほんの少しの沈黙が不安で名前を呼んでみる。
「ただ………、俺に好きな子の話をするのは、
もう、やめてほしい。」
苦しそうに言い切った後、
勝手でごめん、と付け加える。
「侑斗…」相手の気持ちも自分の気持ちも分からなくて、必死に正解を探すけど、それもやっぱり違う気がして、言葉にならない。
「ごめん、いきなり、こんな。
言うつもり、なかった。
俺はただ、ずっとお前と普通の幼馴染で
いられたらそれで。それが良いと思ってたから。
俺、ちゃんと幼馴染やるから。
もう、こんなこと言わないから。
だから、さっきの忘れて……無かったことに、
とか、無理だよな。」
俯いていた顔を腕で覆って、肩を落とす。
「侑斗…」俺はどうしたいんだろう。
ついさっきのコイツの告白を、
無かったことにしたいんだろうか。
「ごめんな。」
「なんで、謝るの……」なんで、
かは分からないけど、気づいたら、
侑斗を抱きしめていた。
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