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「ねぇねぇ。週末に遊園地行かない?」
暑さにうだりながら、パンをかじるお昼休み。徐ろに由美ちゃんがそう言い出した。
「私、そんなお小遣いないよ?」
「大丈夫。チケットはちゃんとあるから! なんと懸賞で大当たり! しかもペアチケットが二つ!」
「由美ちゃん、懸賞なんてやってたんだ?」
「うん。お母さんがやってたんだけど、いつしか一緒にやるようになってね」
と胸を張ってから、私に小声で囁いてくる。
「あのショタコンを陥落させるために努力するのよ。そのためにお母さんのペアチケットも奪ってきたんだから」
私の耳から顔を離すと謙一と草太のほうを向く。
「さぁ男子諸君はどうだい?」
「俺行くよ」
「俺もだ! 遊園地だと短パンのショタがいっぱいいるだろうなぁ」
相変わらず謙一は気持ち悪いが、これでお膳立てが揃ってしまった。由美ちゃんの期待にも応えるためにも何かしら考えないと。
帰宅してから私は玄関先で突っ立ったままスマホで検索をかける。まずはショタで検索をかける。
あら可愛い男の子の写真がいっぱい。つい目の保養をしてしまったが、それでは意味がない。ついでショタコーデで検索をかけてみる。やはり短パン率が高い。よし、それは決定だ。フードパーカーなんかも多いな。Tシャツにカットシャツも多いか。でもフードパーカーのほうがいいかも。
次にショタメイクで検索をかけてみる。出るか出ないか分からなかったが、普通に検索にはあがった。ただ、男装メイクの数が多すぎる。その中からメイクの仕方を見つけて、駆け足で自室に行きショタメイクの練習をする。
謙一を落とすには可愛いショタにならなければならないのだ。正直、男子高校生より女子高校生のほうがショタ化には有利なはずだ。そんなに背も伸びないからな。
メイクしては落として、またメイクする。ショタメイクの仕方のモデルさんは、本当に可愛いショタになっていた。私もそうならなければ。メイクの練習に疲れたら、着替えて走って外に駆け出しメンズファッションのお店に駆け込む。目当てはフードパーカーに短パン。あとついでに白のTシャツの藍色のカットシャツも購入。つい貯金に手を付けてしまったが、私のこれからがかかっているんだ。無駄遣いは許せ。
即刻帰宅して、それを身にまとい鏡に映す。靴下は何色がいいの? 悩んだがやはり白だろう。ショタの足が一番映えそうな色といったら白の気がする。
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