僻みが増えていく

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そんな風に思い始めてきた時、秋の人事異動に合わせて、海外赴任をしていた同期が本社に戻ってきた。 今の時代は男女平等と言われていても、私が新入社員の頃は男性が優位な時代だった。 女子社員はお茶汲みコピー、その後に結婚退職。 だから、海外赴任をして出世をしたのは同期の男性社員だった。 その同期が高木健吾だ。 学生時代にラグビーで鍛えた見事な体躯に、少し茶色がかった短髪に大きな瞳。 彼自身は凄く良い奴だからこそ、気に食わなかった。男ってだけで、海外赴任が出来て出世して日本に帰国。 絵に描いたような幸せな奴。 その同期の高木は、海外赴任して帰国。 私の上司になって、目の前に現れた。 気に入らないが仕事に支障をきたす程、子供じゃないと言い聞かせた。 帰国後すぐに、本社へと挨拶にやってきた。 アラフォーになった彼は、歳を重ねて若手の頃のギラギラした感じが無くなり、すっかり丸くなっていた。 「本日よりこちらに赴任する高木です。 まだ帰国したばかりでわからない事も多く、迷惑をかけると思うがよろしくお願いします。」 そう言って軽く頭を下げて挨拶をした。 彼の挨拶は大柄な態度でもないが、かと言ってへり下った態度でもない。全員から好印象を持たれたと思う。
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