52人が本棚に入れています
本棚に追加
そんな風に思い始めてきた時、秋の人事異動に合わせて、海外赴任をしていた同期が本社に戻ってきた。
今の時代は男女平等と言われていても、私が新入社員の頃は男性が優位な時代だった。
女子社員はお茶汲みコピー、その後に結婚退職。
だから、海外赴任をして出世をしたのは同期の男性社員だった。
その同期が高木健吾だ。
学生時代にラグビーで鍛えた見事な体躯に、少し茶色がかった短髪に大きな瞳。
彼自身は凄く良い奴だからこそ、気に食わなかった。男ってだけで、海外赴任が出来て出世して日本に帰国。
絵に描いたような幸せな奴。
その同期の高木は、海外赴任して帰国。
私の上司になって、目の前に現れた。
気に入らないが仕事に支障をきたす程、子供じゃないと言い聞かせた。
帰国後すぐに、本社へと挨拶にやってきた。
アラフォーになった彼は、歳を重ねて若手の頃のギラギラした感じが無くなり、すっかり丸くなっていた。
「本日よりこちらに赴任する高木です。
まだ帰国したばかりでわからない事も多く、迷惑をかけると思うがよろしくお願いします。」
そう言って軽く頭を下げて挨拶をした。
彼の挨拶は大柄な態度でもないが、かと言ってへり下った態度でもない。全員から好印象を持たれたと思う。
最初のコメントを投稿しよう!