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僻みが増えていく
「「おめでとう!」」
「ありがとうございます」
職場でおめでとうと祝福されているのは、結婚する私の後輩の白井さん。白井さんは涙を浮かべて、嬉しそうに微笑んでいる。
彼女は新たな命を授かってもいる。
今は出来ちゃった結婚と言わずに、授かり婚と言うらしい。
出来ちゃった結婚でいいじゃん。避妊しないでSEXをした考えなしという意味では、どっちでも変わらない気がするし。
私、僻んでいるのかな…。
花束を受け取り幸せ一杯な彼女をにこやかに見ながらも、腹の中で僻む自分に嫌気が差していた。
私、安藤瞳子は39歳にして独身。
アラフォーになると職場で私に、【結婚】という言葉は禁句らしい。
20代の頃は合コンで毎夜、忙しかった。
30代前半になると、だんだんと同期が結婚していく。
30代後半になると、何かあれば残業の出来る独身女になる。
私は今やお局様なのだ。
新卒の若手を見ると、「最近の若手は…」なんて思う時点でおばさんなのだろう。
口うるさいお局様にはなりたくないから、面倒な仕事でも嫌がる若手を尻目に淡々とこなす。
結婚して苗字が変わっても仕事をするのが私の目標だったはずなのに、いつからこんな事態になったのだろう。
自分を大事にし過ぎた結果?
タイミングが合わなかった?
理由は何にしても、ご縁が無かったのだ。
年齢的にも自分の子供は難しいだろうから、一緒に歳をとっていけるパートナーが欲しい。
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