第一章【古王国時代】

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2.建国王カルザス一世。  ここからは私がかつて仕えた、3人の王について述べる事にする。  カルザスについて、彼を王として仕えた期間はごく短かった。しかしながらそれ以前の【友】としての時間、歴史は遥かに長い。    彼はハーフエルフであったからだがそれは、世間一般には知られてはいけない、極秘事項だった。  一般に【カルザス一世】とされる人物は影武者で、血統上は同一の部族出身の男で名をカイエンと言う。  名付け親はカイエンでオーダリ建国、都市国家連合成立のために、彼を王に仕立てた。  人間族の収める国。その象徴たる王が、【妖精族】であってはならない。それが彼の考え方でありまた、カルザスが【人間の王】でなければ、都市国家連合の実現は不可能であったろう、と考える。  かつては妖精族も闇の勢力同様に、人間族にとって忌み嫌われる存在であった。  ゆえに私は、カルザスの企てに加担した。彼でなければ、生き延びた人々を糾合し、妖魔や魔獣に対抗できないと考えたからだ。そしてその考えは、成功を持って報われた。  私と言う妖精族、しかも高位エルフを人間の王が支配下に置いて、使役している事実は、対外的にも有利に働いた。  各国は、古代魔法王国の賢者を招聘すると言う名目で、エルフやドワーフ達をも積極的に招き入れ、彼らの地位や身分を人間族同様に認めること。それを容易に可能とするのに一役買うことになった。
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