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「生まれて初めてですよ、この病気が完治したのは……!」
「ええ、奇跡みたいね、チェリー」
「……うん」
数日後の検診で、お医者様とお母さんは笑顔で頷きあっていた。二人の前で、チェリーは頷く。そして、涙が滲まないように懸命に堪えていたのである。
泣いてはいけない。もういないあの人は、きっと自分の笑顔を望んでくれていたはず。そしていつかあの人がまた地上に戻ってきたくなるくらい、笑って過ごしてやると決めたのだから。
「きっと神様が祝福してくれたのね」
そう告げるお母さんに。チェリーは笑顔で、それは違うわ、と首を横に振ったのだった。
「私を助けてくれたのは……自称・悪魔の天使様だったのよ」
まだ何が出来るかわからないけれど。それでも、もう少しだけ頑張っていきてみせると決めたのだ。
いつか彼の娘として生まれたことに、胸を張れるようになるまで。
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