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夕食の天丼を食べ終わり、蓮が風呂から上がると、智穂はソファーに座ったまま寝息をたてていた。
「……ほら、やっぱり限界だったんじゃないか」
近づいた蓮に気づく様子は皆無だ。
「智穂、歯磨いてもうベッドに行け」
「う~ん……」
夢心地の智穂は少し蓮に呼ばれた程度では、起きそうにない。
ベッドまで抱きかかえて連れていくことはできても、歯磨きまでは流石にしてあげることはできない。
疲れて寝ているのを起こすのは気が引けたが、このまま寝かせる訳にもいかず、蓮は智穂の肩を軽く揺する。
「ん……。蓮……?」
「ほら、歯磨きして、もう寝よう」
「蓮は……寝ないの……?」
「もう少し部屋の片づけをしたら寝るよ」
「エッチは……?」
「しません。今日はゆっくり寝てください」
眠い目をこする智穂の肩を抱いて、洗面台まで連れて行き、歯磨きが終われば今度はベッドルームへ。
されるがままベッドに智穂が潜り込んだのを確認し、蓮はリビングに戻った。
リビングとキッチンの掃除、そして原稿用紙の散乱した仕事部屋も片付けたかったが、散らかった原稿用紙とはいえ、智穂にとっては仕事道具のようなもののはずだ。と、なれば、勝手に触るわけにはいかない。
蓮はそう考え、仕事部屋の掃除は明日以降にまわして寝ることにした。
今までは智穂のベッドで一緒に寝ていたが、今日は快眠の邪魔になることは避けようと、リビングのソファーへ。
客間から掛布団を拝借し、ソファーに横になる。
すると夜の部屋掃除によって、程よく溜まった疲労感が睡眠薬のように効き、蓮はあっという間に眠りについた。
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