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私が初めて凜音に出会ったのは、もう16年も前の事だ。 いくつもの会社の取締役は忙しく、家に帰っても家族のいない私には、ただ毎日が無情に過ぎていくだけだった。 食事と外で仕事の話をする以外、口は開く事がない。 金ならいくらでも払う。 どんな他愛のない事でもいい。誰かと向き合って、話がしたい。 そんな孤独感からくる心の寂しさを癒したくて、私はたまたま一番に目についた風俗店に入った。 こういう店に来れば目的は違うだろうが、しかし何もかも忘れてぬくもりを得られるのは間違いないだろう。 私の足下を見て、サービスをふっかけてくるかな。 だがそれでも、今の私には必要な事だった。 …そんな中。
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