初恋

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いつからだろう。 「ねえ、今日、、一緒に帰らない?」 この気持ちが芽生え始めたのは。 「ごめん、もう他にいるから、無理だよ」 いつからだろう。 「どうしても、、ダメ?」 この気持ちが止められなくなったのは。 「、、、ごめん」 彼は扉を出て、隣のクラスに向かう。すぐに私の視界から消えてしまった。 胸に手を当てると、私の心臓は、いつもより少し速く鼓動を打っている。あの時から、そう、あの時から芽生えたこの気持ち。もう、止められない、この気持ち。 はあ、今日も振られちゃったな、一緒に帰るくらいしてくれたらいいのに。なんでダメなんだろ。私がブスだからかな?いや、彼はそんなこと絶対にしない。だから私は彼のことを、、、 仕方がないから今日も一人で帰ろう。カバンを背負って、私も教室を出る。窓から空を眺めながら、ゆっくり一人で廊下を歩く、平和な時間。 以前は何よりもこんな時間を望んでいたはずなのに、今や「一緒に帰ろう」なんて言葉を口走っている。人間とは贅沢を求める生き物なんだなと自分を見ててつくづく思うものだ。 下駄箱に着くと、数人の人の群れの中、一際輝いて見える姿がひとつ。 「あっ、まだ帰ってなかったんだね」 突然私に声をかけられ、思わずビクッと体を震わす彼。 「お、おう。こいつ呼びに行ってたからさ、追いつかれちまったみたいだな」 彼は、隣にいる綺麗な女の人を親指で指して、軽く笑いながら言う。綺麗な女は、私を見るや否や怪訝な顔をして、さっと私から目を逸らす。 「あっ、待って!明日もテスト前で部活ないよね。明日こそ私と一緒に帰ってくれないかな?」 私は、帰ろうとする彼を呼び止めて、言う。 「いや、ごめん。明日も彼女と帰るから、、」 彼は目を伏せながら、バツが悪そうに言う。 「どうしてもだめかな?一日くらいさ、、」 「いや、ごめ」 「ちょっと、早く行こう」 綺麗な女は、彼の服の袖を引っ張りながら、彼の言葉を遮って言う。 「じゃ、じゃあな!気をつけて帰れよ!」 彼は慌ててそう言うと、そそくさと玄関を出て行った。 私は、綺麗な女の横の彼の背中を見送る。そして、そっと胸に手を当てる。 さっきよりも更に、鼓動が速くなっているのを感じる。 止められない。 止められないこの気持ち。 (すーー、ふぅーー) 一つ大きく深呼吸をし、私も玄関を出て帰路に着いた。
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