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そうだな…「これは今までで一番ひどいやつだ」と思うかもしれない。
頭が混乱して、理解するのに何年も何年もかかるかもしれない。理解できないまま、わからないふりをして現実から逃げてしまうかもしれない。
しかし、いくら考えても、そんなことはわからないのだ、というのかいつもの結論だ。
なぜなら、全ての痛みがわかるのは当事者でしかないからだ。同じような経験をした人になら、同じような苦しみを今、耐えている人の気持ちがわかるだろう。
だけれど、全ての人が同じように考えるのか、同じように苦しむのかは本人にしかわからない。
考え方がとてもポジティブで「こういったこともある」の一言で解決できる人。「これ以上のことはない」といくつもの言葉で自分を責め続ける人。
申し訳ないが、僕にはわからない。かわいそうだと思って泣きたくもなるが、それが同情でない悲しみであるなら、ドラマを見るようにこの人たちを見ているのかと考え出したら、不謹慎にも思えてくる。
筑田はニュースを見て、そんな気分になってくるとそれを消した。見なければ目と耳から情報が入ってこない。そうしたら、なにも考えなくて済むし、見なければいけないことなんて、実はたいしてないことがわかる。
そんな筑田でもいくつか、わかる気がする、ことがある。例えば、不登校の気持ちとか。
筑田は中学生の頃、一時、学校に行けなかった。それはいじめられたとか、勉強についていけなかったとかではなかった。入学してから、クラスに友達ができなかった。ずっと行きたくなかった。
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