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それに気を利かせた教師が、次の年には小学校で一番仲が良かった友人と一緒のクラスにしてくれた。
それで彼は不登校になった。友達がクラスにいればいいでしょうという程、単純な話ではないということは、自分でだって驚いたくらいだ。教師も面倒くせえなぁと思っただろうなと、今になってみれば思う。
それから、ぐずぐすと、行ったり、行かなかったりを繰り返しているうちに、登校できるようになっていた。
だから、わかると言っても、ずっと登校できなかった人間の気持ちはわからない。その時に、話を聞いてくれた大人はいたけれど、筑田は自分の気持ちはこの大人たちにはわからないだろうなと思った。
誰も「自分は同じ気持ちを味わったことがある」とは言ってはくれなかったし、誰も「わたしも不登校だったことがある」と言ってはいなかった。
そうでない人間に、僕の気持ちはわからないと中学生の筑田が思っていたことは、どれだけの人間が知っていただろうか。
そしてその時に、静かな線路を眺めては、電車がここを通る時に、飛び込んでしまおうかと考えていたなどとは。他の中学校の生徒がどこかから飛び降りたと聞いて、先を越されたと思っていたなどとは。未だに誰にも話していない。
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