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──田舎から都内に戻ってきた俺たち。
辺りはすっかりと暗くなり、夜空には月と星が光り輝いていた。
そして、俺たちはの二人だけの思い出の場所へと辿り着いていた。
「…いつ来ても、やっぱり綺麗…」
「ああ、ここはいつでも変わらないな…」
「…うん、ほんとだね…」
「ここから、始まったんだよな…俺らの恋…」
初めて紡とここに来た時は、お互いに父さんや母さんのことを伝え合い気持ちを分かちあって…
俺は紡に一目惚れをして…
お互い一目惚れだと気付いて…
そしてお互い、どんどん距離が近付き、両思いだと気付いた。
その後、紡とこの楽しい日々を歩んでこれなかったら、ずっと知らなかった本当の真実を俺たちは知ることも出来ず…
二人のカセットテープは、ずっと止まったままだった。
「…紡…?」
「…うん…?」
「俺さ…お前に出会えて…ほんとに良かった…」
「…そっ…それは…僕だって同じだよ…」
「…すごく濃い数ヶ月だったな…?」
「…うん…本当に濃すぎた…」
このなんとも言えない気持ちになっているのはは、お互い同じはずだけれど、俺が今、紡に伝えたかったことはそこじゃなかった。
俺はそっと紡の両手を手に取り、伝えたい思いを素直に紡ぎ始めた。
「…紡…?」
「…り、凌空…?」
「父さんと母さんの事…正直にお互い辛かったよな…?」
「…うん…かなりしんどかったかな…」
「でもな…?俺らは、もう一人じゃない…」
「…っ…!」
「…これからもきっと…辛いことも悲しいことも絶対に現れると思うんだ…でも、それでも…俺と紡ならどんな逆境も絶対に超えて行けると、俺はそう思ってるんだ…?」
「…っ……り…凌空っ…」
「これからの人生、俺にはお前が必要だ…その分、俺もお前に必要とされたい…だから、これからも変わらずに…笑顔が朽ちるその日まで、俺の傍にいてくれるよなっ…?」
「…も、もちろんだよ…!こんな僕だけど…ずっと凌空の傍にいたい…僕にも凌空が必要なんだよ…そして、絶対に凌空から離れたくなんかないんだ…!」
「だから…ずっと僕を好きでいてね…?」
俺の愛の告白に今までのしんみりとした空気は、またどこか温かさを取り戻していて…これだけ泣いて、もう枯れて出てこないはずの涙を優しい笑顔と共に紡は俺にみせてくれたんだ。
カセットテープは、上書きは出来てもどこまでもは録音出来ない…必ず限界が来るんだ。
何度も書き換えてしまったらテープも伸びてしまうし、どこかで音の歪みも出て不安定になってしまう。
なら、その時はまた新しいカセットテープに綺麗な思い出を書き込んでいけばいいんだ。
次は、どんな出来事を紡と二人で新しいカセットテープに書き込んでいこうか…?
「…紡…?」「…凌空…?」
「…ずっと…」「…これからも…」
「…愛してる…」「…愛してるよ…」
ハモリ合う愛の言葉も綺麗に混ざり合い、付き合い始めた頃とはちょっと違う思いを込めて…
俺らはその場で誓いのキスを交わしたんだ。
そして、今日も二人だけの思い出の場所は、変わらず綺麗な色で輝いていた。

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