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確かに、もう気を遣う仲でもなければ、ドキドキと胸をときめかせるような日常でもない。
その代わりに手に入れたものは…『安心』なのだろうか。
チラリと横目で拓人を見る。
全く体勢を変えずにスマホをいじり続けていることに、感心すら覚える。
……これまで『別れよう』と思ったことがない訳ではない。
でもそれを考えだすと『ここまで一緒にいたのに』や『拓人と別れたら私は一生一人かも』という後ろ向きな感情が、必ずと言っていいほど顔を覗かせる。
それこそ、さっきまで惰性で観ていたテレビとなんら変わりはない。
しかし、別に暴力を振るわれた訳でもなければ浮気も…していないとは思う。
それなのにそういった決断をすることは、やはり躊躇われてしまう。
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