1人が本棚に入れています
本棚に追加
そして、僕はといえば。こいつらと比べれば常識人であるという自覚はある、あるのだが。
「お願い、協力してよ、頼むからあ……!」
チート持ちなのに能力が強力すぎて使えず、今に至るというわけで。苛々しないように、苛々しないように、とさっきから自分に言い聞かせてドキドキしていることに気づいて欲しい。
その理由は。
「あ」
突然、ばったりと勇者Bと勇者Cが白目をむいて倒れた。Dがぱたぱたと二人に駆け寄り、その脈を取る。そして。
「リーダー。二人とも死んじゃってますよお。どうするんですかー?」
「や、やっちまったぁ……!」
望んだ相手を、簡単に即死させられる能力。何でこんなチート能力を選んじゃったのだろう、僕は!おかげですぐに能力が暴発して使いにくいことこの上ない!魔王城に辿りつく前に死人を大量発生させかねないせいで、スタート地点の森の小屋からろくに出られもしないなんて!(ちなみにこの会議もその小屋の中で行われている)
「このまま死なせときます?その方が平和かもしれませんけどー」
「そ、そういうわけにはいかないから生き返らせてあげて……」
チートが五人集まれば魔王なんて楽勝です!って誰が言った。この状況でもやる気なくスマホいじってる勇者Aを見て思う。
勇者は一人だからこそ平和なのである。あと、チートスキルはほどほどに。今度、女神に会ったら進言しようと思う僕だった。
最初のコメントを投稿しよう!