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そして、一日も休まず部活に勤しむ。 高瀬のような剣道を。 高瀬の放つ鋭い技を私も打ちたい。 あの、凛々しくも力強い剣道を。 夏休み、真由と一緒に暑い道場で練習する。 叩きのめされ、ふっ飛ばされ、ボロボロになっても喰らいついていく。 「一樹、今日も走るの?」 「うん」 練習後、グランドに出て走る。 袴が邪魔で走りにくいが、お構いなしだ。 身体はクタクタで汗が目に染みるけど、走っていると高揚する。 サッカー部や野球部の声が響くグランドの端っこを、夏が終わるまで走り込んだ。 夏休み前、愛美に彼氏が出来た。 部内恋愛と言うやつだ。 剣道のお小言がノロケに変わり、練習にも身が入っていないようだ。 「お互いに高め合えるから、私はもっと強くなる」 そんな事を言っていたけど。 私には興味がなかった。 夏の総仕上げは、部内紅白戦だった。 全員、ランダムに分かれる。 私は白のチームになった。 女子は女子と戦うけど、誰と当たるかはわからない。 11名づつに分かれ、負けたチームには厳しいトレーニングという名の罰がある。 腕立て伏せ、掛かり稽古、ランニング。 回数は顧問の気分次第だ。 白チームで順番を決めて、端から座っていく。 向こう側、私の目の前には愛美が座った。
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