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まさか自分が、3Kと揶揄される剣道部に入部するとは思いもしなかった。 あくまで真由の付き添い──そんな軽い気持ちだったのに。 入部希望者は、男女合わせて20人。 圧倒的に女子が多かった。 半分は真由のように、イケメンの先輩が目当てだろう。 素振り、すり足、基礎体力。 ひたすら繰り返される反復練習も、道場の雑巾がけ競争も、必死になってついていく。 何もかもが新鮮で、この頃の私は早く防具をつけたい、試合をしてみたいと願っていた。 入部した頃は、剣道の掛け声に苦労した。 色々な掛け声がある。 真由は圭子先輩の真似をして「すぅぅぅううーーっ!」と声を放つ。 「声が小さいっ!!」 剣道の掛け声は気力を表に出したもの。 小さいと、気力が充実していないと叱られる。 私も始めは奇妙な掛け声が恥ずかしくて、顧問にさんざん叱られた。 「えやぁぁぁああっ!!」 防具をつけて練習する頃には、私も真由も勇ましい掛け声が出るようになっていた。 防具をつければ、練習はますます厳しくなる。 秋には20人いた一年生が、12人になっていた。 「最後は掛かり稽古!一樹、こい!」 「はいっ!いやぁぁぁああっ!」 休む暇なく挑んで打ち込んでいく。 顧問は身長180センチで、四段を持っている体育教師だ。
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