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「技術を……貸す?」
「えぇそうです」
訝しがる越前に対し笑顔の加持谷。
「……申し訳ないですけど、怪しいッスね」
信じられない。信じられる訳が無い。そう言い放ち背を向ける越前。しかしその耳に届いたのは予想とは反対の言葉だった。
「怪しくて当然じゃないですか」
「えっ?」
「技術を貸すだなんてそんな事、真っ当な方法で貸せると思いますか?」
「いや…普通無理…」
「怪しいから要らない?貴方の勝利への執念はそんな綺麗事で済ませられる程度なんですか?」
「ち…違う!」
「真っ当に、真面目に、正直に頑張ったらそれだけで人は報われるとお思いですか?」
「違う!」
「そう!努力は報われない!なぜなら人生は不公平なのですから」
「人生は、不公平……」
「生まれ持った才能、家庭環境、貧富の差……所詮人間なんてね、それぞれ最初っからスタートラインが違うんです。持たざる者は永遠に弱者なんです」
「それ、は」
「努力すれば報われるなんてセリフはね、その努力って階段を才能という羽が付いた靴で駆け上がれた事に気付いていない人間だけが言う言葉なんです。全くもって反吐が出る」
そうだ。努力なんて報われない事ばかりだ。弱者は如何足掻いても弱者のまま。
「そんな不動の盤面を動かすにはどうすれば良いと思いますか?」
「どうすれば、勝てるんですか」
不安を覚えながらも惹かれ始める越前に、加持谷は静かに囁いた。
「他人の手を借りればいいんですよ」
「他人の……手を?」
笑って頷く加持谷。
「興味があるなら付いてきて下さい。今なら開店記念!会員登録すればレンタル無料です!」
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