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1. 通学電車
ほかの学校の、年上のあなた。
朝の電車でいつも、ぼくの後ろに立っていた。
駅で客がどっと乗ってくると、乳房がぼくの背に押しつけられる。
ある朝、ぼくはふり向いて、あなたと出会った。
それっきり、あなたに会わなくなった。
(105文字)
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【作者註】
そもそも説明が必要かどうか?
いや、ひとつの作品として完成しているはずのものを解説していいのか?
……悩みました。
次ページにした方がいいか、とか。
スタ特で読みたい人だけ読んでもらう、とか。
でも達意の文章ではないので、おそらく読者に伝わっていないことを前提に、【作者註】として補足します。
Twitterにはタイトルも載せていなかったので、そちらも悩みました。
(もともとタイトルは全作品につける主義です)
結果、タイトル、字数を明記して、数行あけて補足することにしました。
「いらん!」って方は、飛ばしてください。
設定は満員の通学電車ですね。
最初の一文を「ほかの中学の」にするか悩みました。
「ぼく」は「あなた」より、ひとつ年下です。
たがいに、何となく意識してるんだと思います。
ある日、「ぼく」は意を決して、正面から「あなた」と向き合います。
それからどうなったかは、ご想像に任せます。
たぶん読者の方々が、それぞれご想像されたとおりかと。
最後の一文ですが、
「それっきり、あなたと会わなくなった」
にしようか、すごく悩みました。
「に」と「と」の違いだけですが(笑)
「あなたと」の方がなんとなく、「ぼく」の意思で会わなくなったっぽいと思い、「あなたに」を選択しています。
おそらくこのあと、「あなた」が卒業したのでしょう。
「ぼく」は後悔したかも知れません。
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