2. ロミジュリ

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2. ロミジュリ

彼がわたしを見た。それが出会い。 ロミジュリとは逆で、手すりから見下ろしていたのは彼だけど。 「決して結ばれないから、来ないで」 言葉さえ届かない。それでも彼はいつも会いにきた。 ついに彼はわたしの下へ。 橋から川へ身を投げて。 (109文字) -------------------- 【作者註】 ロミオとジュリエットになぞらえたのは、筋が決まってからでした。 最初、イソップ寓話の、川に肉を落とした犬をイメージしてました。 「それでも彼はいつも会いにきた」は、悩んだところ。 「会いにきた」だと、近くまで寄っていたようにも受け取れます。 でも「川に来た」や「橋の上に」だと、読者にオチが分かってしまう。 最後はホラーでした。 冒頭を「わたしが彼を呼び止めた」にするのも考えました。 でもそれだと、出会いじゃなくて「祟り」になっちゃいますね。 やめました。
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