5mm違いの戦闘服

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「そうなの……社会人の先輩として偉そうな事言っていいかしら?」 「「はい……」」 「面倒くさい事を避けている人は絶対に成功しないの。だから頑張って!面倒くさい事を」 「は、はい……」 なんとなく言われている意味はわかる。この女性はそうやってキャリアを積んできたのだと感じた。 「今日は素敵な店員さんに出会えたから1枚いただくわ。あなただったらこのスーツにどのワイシャツを合わせるかしら?」 私は迷わず濃紺のワイシャツを差し出した。 「こちらにそのスカーフでバッチリです!」 「あら、そうねこれなら上着を脱いでも素敵よね?ワイシャツが主役になるわ、と言うか私にとっては戦闘服みたいな物だけどね」 「えっ?」 私は耳を疑った。ワイシャツが主役って言っていた。 「こちらのサイズで宜しいかと」 「あら、わかるの?私のサイズ」 「はい、いつも測ってますから、見たらだいたい」 女性は微笑んで頷いてくれた。 「「ありがとうございました」」 私達は凛とした後ろ姿を見送った。
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