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事の発端は、高校生の頃から大好きな先輩が、処女は苦手だと発言したことから。
先輩はこれまでずっと途切れることなく彼女がいたけど、最近彼女と別れたらしい。
一生懸命アピールしたら今度デートに行こうと誘ってくれた。
巡ってきたチャンスを逃すわけにいかない
なのに、まさかの処女は苦手って……。
ずっとずっと先輩に一途で、同じ大学に進学してようやく近づけたのにこんなところで諦めたくない。
諦めきれなくて事に及んだ。
「そういえばなんて呼んだらいい?
あ、名前言いたくないならいいけど」
手配されたホテルの部屋に入って、イサトは上着を脱ぎながら名前を聞いてきた。
どうしよ、こういう時って本名言わない方がいいかな。
でもどうせ今夜限りだし、いいや。
「……琴梨ことり」
「ことり?ああ、だから名前が鳥の絵文字だったのか」
適当に登録したマッチングアプリで、鳥の絵文字を名前変わりにしてた。
絵文字と名前を関連づけて納得したイサトは、緊張をほぐすように笑いかけてきた。
……あ、結構笑顔は好きかも。
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