第十四章 山の上には桜が在る 四

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「イゴール、別荘も持っているよね?」 「持っているが、飛行機をチャーターしなくては行けない」  別荘は、かなり離れているようだ。 「白蓮」 「はい、ホテルの部屋を用意しましたよ」  白蓮は、政府要人が使用するホテルを手配したらしい。 「車も手配しています」  研究所の外に出ると、黒塗の車が用意されていた。そこで、乗り込もうとしたが、片足を入れた所で止めた。 「白蓮、携帯電話を使用したな?」 「はい。使用しましたが?」  白蓮の携帯電話はマークされているので、この車に乗り込むと危険だろう。そこで、後から来た職員に車を譲ると、来たタクシーに乗り込んだ。 「…………私の研究所の職員が、危険ではないですか?」 「そうだね。だから、警察にも連絡しておいた」  ここから数えて、三つ目の信号で車が止まり、そこで誘拐しようとする。信号の横にはヘリポートがあり、既にプロペラを回して待機している。そう白蓮に告げると、その通りになっていた。 「誘拐ですか………………」 「それは、終わりがない。だから、アレクセイに戻りたくなかった」  白蓮が予約したホテルに到着すると、予約は三部屋だったのだが、ニ部屋に減ってしまっていた。  「誠に申し訳ありません。予定しておりました部屋の一つに、不備がございまして…………」 「不審者が入り込んで、薬品を仕掛けようとしたのか…………」  もしかして、白蓮の属している組織に、内通者がいるのかもしれない。 「白蓮、ホテルを変える。イゴール、どこかに無いかな?」  今度は、イゴールの秘書が予約してくれたので、再びタクシーに乗って移動した。
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