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「イゴール、別荘も持っているよね?」
「持っているが、飛行機をチャーターしなくては行けない」
別荘は、かなり離れているようだ。
「白蓮」
「はい、ホテルの部屋を用意しましたよ」
白蓮は、政府要人が使用するホテルを手配したらしい。
「車も手配しています」
研究所の外に出ると、黒塗の車が用意されていた。そこで、乗り込もうとしたが、片足を入れた所で止めた。
「白蓮、携帯電話を使用したな?」
「はい。使用しましたが?」
白蓮の携帯電話はマークされているので、この車に乗り込むと危険だろう。そこで、後から来た職員に車を譲ると、来たタクシーに乗り込んだ。
「…………私の研究所の職員が、危険ではないですか?」
「そうだね。だから、警察にも連絡しておいた」
ここから数えて、三つ目の信号で車が止まり、そこで誘拐しようとする。信号の横にはヘリポートがあり、既にプロペラを回して待機している。そう白蓮に告げると、その通りになっていた。
「誘拐ですか………………」
「それは、終わりがない。だから、アレクセイに戻りたくなかった」
白蓮が予約したホテルに到着すると、予約は三部屋だったのだが、ニ部屋に減ってしまっていた。
「誠に申し訳ありません。予定しておりました部屋の一つに、不備がございまして…………」
「不審者が入り込んで、薬品を仕掛けようとしたのか…………」
もしかして、白蓮の属している組織に、内通者がいるのかもしれない。
「白蓮、ホテルを変える。イゴール、どこかに無いかな?」
今度は、イゴールの秘書が予約してくれたので、再びタクシーに乗って移動した。
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